日本輸血学会雑誌
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最新号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • COBE Spectra®との比較K試験
    奥山 美樹, 原口 京子, 中川 美子, 佐久間 香枝, 石井 加世, 高橋 直美, 安部 久美子, 高木 朋子, 武田 敏雄, 國友 由紀 ...
    2006 年 52 巻 3 号 p. 397-404
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究では, 新しく開発された全自動型血液成分分離装置 Baxter Amicus の末梢血幹細胞採取機能を評価するために, COBE Spectra の手動プログラムと比較した. 連続した自己末梢血幹細胞移植患者を対象に Amicus 群と Spectra 群に交互に振り分け, CD34陽性細胞回収率や採取物の特徴を比較検討した.
    最初の比較試験では, Amicus の設定をデフォルトのまま, すなわちMNCオフセットを2.3ml, 処理血液量は1,400ml×7cyclesで行った. 症例数は各群それぞれ5例, 採取回数は Amicus 群7回, Spectra 群9回であった. CD34陽性細胞回収率は Amicus 群で33.20±12.23%, Spectra 群で54.51±12.07%と後者で有意に良好であった. 血小板の混入量は Amicus 群で4.57±1.93×1010/bag, Spectra 群で17.71±15.55×1010/bagと前者で有意に少なかった.
    次に Amicus のCD34陽性細胞回収率を向上する目的でMNCオフセットを2.1ml, 血液処理量を1.800ml×5cycles に変更し, 同様の比較試験を行った. 症例数は各群それぞれ5例, 採取回数は Amicus 群7回, Spectra 群7回であった. CD34陽性細胞回収率は23.09±11.53%, Spectra 群で50.66±15.15%と後者で有意に良好であり, Amicus のCD34陽性細胞回収率を向上することはできなかった.
    Amicus は自動型の利点があるものの, CD34陽性細胞回収率が Spectra 手動プログラムより劣っていると考えられたが, 回収率の差をより明確にするために, 症例数を増やして更なる検討の必要性があるものと思われた.
  • PTR患者における免疫グロブリンクラス別HLA抗体陽性率
    斉藤 敏, 玉井 豊広, 太田 正穂, 大田 智, 小松 政義, 平林 盛人, 玉木 啓子, 瀬下 秀幸, 清水 寿, 浅村 英樹, 福島 ...
    2006 年 52 巻 3 号 p. 405-413
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    HLAクラスI抗体が血小板輸血不応状態 (platelet transfusion refractoriness: PTR) に関与することについては数多くの報告があるが, IgM型のHLAクラスI抗体 (IgM-HLA抗体) のPTRへの関与についての報告はほとんどない. そこで, PTR患者121人の凍結保存血清のHLA抗体スクリーニングを, 磁性粒子を用いた Mixed passive hemagglutination assay (M-MPHA) 法, Flow cytometric reagents for detection of panel-reactive antibody against HLA Class I antigens (FlowPRA) 法, Anti-human immunoglobulin lymphocyte cytotoxity test (AHG-LCT) 法により行い, IgM-HLA抗体のPTRへの関与については, 輸血24時間後の補正血小板増加数 (CCI24hours) による血小板輸血効果から推測した. その結果, M-MPHA法により121症例中48症例からIgM-HLA抗体が検出された. 一方, FlowPRA法により検出できたIgM-HLA抗体は, それら48例中35例, AHG-LCT法では20例のみであった. 血小板輸血効果は, IgM-HLA抗体を保有する, 48症例中7症例74輸血において判定できた. IgM-HLA抗体の特異性に対応する抗原を持たない輸血では, CCI24hoursが19.7±4.7(×109/L) を示し輸血効果を得ることができたが, 対応する抗原を持つ輸血では, CCI24hoursが2.0±19(×109/L) を示し輸血効果を得られなかった. PTR患者に高頻度に存在するIgM-HLA抗体は, PTRの原因になると考えられ, その半数以上はAHG-LCT法により検出できなかった. M-MPHAをHLA抗体スクリーニング, 血小板輸血の際の交差試験に用いることで, PTR症例の原因解析と輸血効果の向上に貢献できる可能性がある.
  • 輸血部門の管理体制および輸血療法委員会に関する調査
    高橋 孝喜, 稲葉 頒一, 半田 誠, 坂本 久浩, 比留間 潔, 河原 和夫, 松崎 道男, 窪田 良次, 程原 佳子, 今中 雄一, 大 ...
    2006 年 52 巻 3 号 p. 414-421
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」に医療関係者の責務と明記された「安全かつ適正な輸血」の実施状況及び課題を把握するため, 輸血管理体制及び輸血療法委員会に関する調査を含む輸血関連総括的アンケート調査を2004年度に実施した.
    300床以上で血液製剤使用量が3,000単位以上の全医療機関777を含む1,355病院を対象とし, 829施設 (61.2%) より回答を得た. 輸血部または検査部による輸血検査・輸血用血液の一元管理体制は, 各々164施設 (19.9%), 513施設 (62.1%) において確立し, 輸血療法委員会あるいは同様の機能を持つ委員会が733施設 (88.7%) に設置されていたが, 同委員会の中心となるべき専任の輸血責任医師が任命されている施設は86施設 (10.5%) と少なかった (表2, 表4).
    医療機関の病床数及び輸血責任医師の専任, 兼任, 不在により分類した5群 (表1) における血液製剤の使用量, 廃棄率を比較した結果, 輸血責任医師不在の300床以上の医療機関において, 濃厚赤血球液 (RBC) 及び新鮮凍結血漿 (FFP) の廃棄率が多く, FFP使用単位数/RBC使用単位数が統計学的有意差はないものの, より多い傾向が認められた (表6).
    以上より, 輸血療法委員会を活用し, [安全かつ適正な輸血医療] を実践するために, 専任の輸血責任医師が重要な鍵を握るものと考えられた.
  • 加藤 栄史, 高本 滋, 宇留間 元昭, 安藤 高宣, 丹羽 玲子, 池田 久實, 比留間 潔, 浅井 隆善, 星 順隆, 倉田 義之, 清 ...
    2006 年 52 巻 3 号 p. 422-430
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    【背景】静注用免疫グロブリン (IVIG) に関しては未だ明確な使用基準がなく, 適正使用を推進するには使用指針の作成が急務である. 我々は指針作成を最終的な目標とし, 先ずIVIGについて全国の中・大規模病院における疾患別の使用実態を調査, 検討した.
    【方法】全国の400床以上の732病院を対象に, 平成15年7月から9月までの3ヵ月間におけるIVIG使用状況をアンケート形式で調査した. 調査内容は疾患別の使用患者数および使用量である.
    【成績】本調査の有効回答率は36.6% (268/732病院) であった. 総使用患者数 (8,570例) 中の小児群は1,955例で自己免疫疾患が38%, 術後感染症を含めた感染症が33%であり, 成人群は6,615例で自己免疫疾患が10%, 感染症が73%と両群間に有意差が認められた. 総使用量 (171,018g) では, 小児群 (28,684g), 成人群 (142,334g) での自己免疫疾患の占める割合は各々60%, 35%であり, 感染症は各々15%, 45%であった. 感染症以外の患者数をみると, 小児群では川崎病が44.5%と高頻度であり, 成人群では特定の疾患に多く使用される傾向は認められなかった. 感染症に関しては両群とも細菌感染症に多く使用されていた. また, 重症感染症の指標として設定したCRP値の境界値 (小児群: 10mg/dl, 成人群: 15mg/dl) 以上での使用例は小児群では28%と低率であり, 成人群でも51%と約半数に過ぎなかった.
    【結論】本調査から自己免疫疾患ならびに感染症が今後のIVIG需要量を規定する主な疾患であると判断された. 特に, 感染症のうち, 重症と考え難く, 不適正と考えられる症例にもかなり使用されている実態が明らかになった.
  • 2006 年 52 巻 3 号 p. 446-449
    発行日: 2006/06/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
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