固液相変化物質(PCM)の微細粒子化に伴って顕著に現れる過冷却現象がこの物質を蓄熱材として利用する場合の熱的特性に及ぼす影響について検討した。n-ドデカン(C
12H
26,融点259.9K)およびn-テトラデカン(C
14H
30,融点278.9K)を内包するマイクロカプセルを平均粒子径6∼1000μmの範囲で試作し、カプセル内で過冷却状態にあるPCMの凝固挙動を観察した。また、示差走査熱量計を用いた凝固温度の分析を行った。粒子径の減少に伴って過冷却度が増大することに加えて、同一形状の複数粒子において結晶核生成理論に準じた確率論的な凝固温度分布が現れることを明らかにした。さらに、凝固過程を合む粒子集合体内の熱伝導特性について評価した。過冷却を伴う粒子および結晶核生成物質を粒子内に封入して過冷却を解消した粒子を用いて比較検討した結果、粒子の凝固挙動の違いに起因して集合体内の熱伝導速度が異なることが認められた。
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