サーマルマイクロスコープは微小領域の熱物性測定装置として注目を集めている。本報告ではサーマルマイクロスコープにより、基板上に形成された被膜の熱浸透率を測定した応用例を示す。なお本研究で測定したアルミナ電着被膜材料では試料表面にやや起伏が認められたため、表面の起伏を考慮した測定データの解析を行った。今回測定した試料では、測定領域の深さと皮膜を構成する粒子径が、0.5μm と同程度であるため、測定の非定常性が測定値に影響を与えている可能性があるが、測定された熱浸透率は1×103 Js
-0.5m
-2K
-1程度であり、緻密なアルミナに比べて一桁小さい値であり、アルミナ電着皮膜を構成する粒子間の結合が点結合に近くなっているためと考えられる。
抄録全体を表示