熱物性
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26 巻, 4 号
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論文
  • 矢部 晋太郎, 福岡 美香, 酒井 昇
    2014 年 26 巻 4 号 p. 179-186
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    茹で調理過程のスパゲティをMRI測定し水分分布を得た結果,三段階の水分移動パターンが存在することがわかった.また,二種類の顕微鏡観察から,茹で調理中のスパゲティ内のデンプンは,未糊化領域,糊化領域及び高分子の分散領域の三つに大別することができた.さらに,デンプンの構造変化に伴って,系の水分保持能力が異なることが示された.デンプンの保水能力と実際の含水率との比の勾配を駆動力とする移動方程式を用いて,スパゲティ茹で調理における水分移動解析を行った結果,実測と同様の挙動を表すことができた.
  • 松永 直樹
    2014 年 26 巻 4 号 p. 187-195
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    ジクロロメタン(CH2Cl2)、トリクロロメタン(CHCl3)およびテトラクロロメタン(CCl4)の蒸気の乾燥空気、窒素および酸素に対する拡散係数を、温度範囲318~453Kにおいて大気圧下でTaylor分散法を用いて測定した。ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタンとも、乾燥空気を窒素または酸素で置き換えても拡散係数の値は事実上変化しないことがわかった。また、拡散係数の値は分子量の増加とともに小さくなり、トリクロロメタンおよびテトラクロロメタンに対する値は、ジクロロメタンに対する値に比べて系統的にそれぞれ約14%と25%小さくなった。測定結果は、D = ATBの形の相関式で再現することができる。ここで、D(cm2s-1)は101.325kPa(1 atm)における拡散係数、T(K)は絶対温度である。係数AおよびBの値は、ジクロロメタン-(空気、窒素、酸素)系に対してはA = 8.67×10-6B = 1.66、トリクロロメタン-(空気、窒素、酸素)系に対してはA = 7.90×10-6B = 1.65、テトラクロロメタン-(空気、窒素、酸素)系に対してはA = 9.36×10-6B = 1.60である。
  • 酒井 忠継, 堀田 純平, 長坂 雄次
    2014 年 26 巻 4 号 p. 196-202
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    直接メタノール型燃料電池は携帯機器用等の電源として注目されているが,重要な課題としてメタノールクロスオーバーがある.評価手法として膜内拡散センシングが必要とされているがその手法は確立されていない.そこで非接触・msオーダーで相互拡散係数を測定できるCO2レーザーを用いたソーレー強制レイリー散乱法(Soret forced Rayleigh scattering method: SFRS)の適用を試みた.本研究では電解質膜に適用する際の問題点とヘテロダイン検知等による解決策を提示し,装置構築を行った上でNafion 117内13wt%メタノール水溶液の拡散係数の予備的な測定結果が得られたので報告する.
  • 岩佐 真行, 江本 奏, 若色 龍太, 西村 晋哉, 吉田 博久
    2014 年 26 巻 4 号 p. 203-208
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/31
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンオキシド(PEO)薄膜の構造と相転移に対する固体基板界面の影響をDSCとAFMで検討した。膜厚の減少に伴い相転移温度が低温側にシフトした。溶媒キャストから形成した結晶は溶媒蒸発と結晶析出の過程で配向の異なる結晶ラメラが形成され、DSCに複数の融解ピークが観察された。冷却結晶化した薄膜では厚みが均一で基板に平行な面内方向に成長する樹枝状構造が観察され、DSC昇温曲線で単一な融解ピークを示した。重合度の低いPEO薄膜は試料質量が10μg以下(膜厚では200nm以下)になると、溶融状態からの冷却過程で結晶化が困難になり、その後のDSC昇温曲線に融解ピークが観測されなかった。
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