本研究では超小型人工衛星用蓄熱材料として,結晶転移によって蓄熱を行うトランス-1, 4-ポリブタジエン(TPBD)に注目した.同一のサンプルに対して蓄熱量の測定および分子構造の測定を行った.測定結果から,TPBDの分子構造内の-CH
2の自動酸化によるC-H結合の変化が,蓄熱量に影響を与えていることが確認できた.連続使用の中での蓄熱量の変化を確認するために熱サイクル試験を行った.熱サイクル試験によって得られた温度履歴から蓄熱量及び放熱量の算出を行った結果,蓄熱量は60 J/gから90 J/gの間に,放熱量は-65 J/gから-100 J/gの間になることが分った.静止軌道衛星約4年半の運用期間に相当する1700回の蓄熱および放熱では蓄熱量の熱サイクル劣化は確認できなかった.
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