熱物性
Online ISSN : 1881-414X
Print ISSN : 0913-946X
ISSN-L : 0913-946X
31 巻, 3 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 森田 慎一, 平田 光樹, 早水 庸隆, 山田 貴延, 堀部 明彦, 春木 直人
    2017 年 31 巻 3 号 p. 118-124
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー

    工場廃熱や温泉熱などの100°C以下の低温熱源の熱エネルギーは,ほとんど使われることなく捨てられており,有効利用されることが望まれる.本研究の目的は,ナノサスペンション(懸濁液)型潜熱蓄熱物質の蓄・放熱特性評価である.ナノサスペンションは,微細化分散質(潜熱蓄熱物質)であるテトラコサン(CH3(CH2)22CH3 = 338.66,純度>99%,規格値融点50.0~53.0°C),分散媒(連続相)としての蒸留水および非イオン界面活性剤を組成とする.本報は,示差走査熱量計(DSC)を用いて昇温・降温速度および分散質の組成質量割合を変化させた場合の測定を行い,ナノサスペンションの比熱,見かけの融点・凝固点温度,融解・凝固潜熱量を評価した結果について述べるものである.

  • 森田 慎一, 長谷 知将, 早水 庸隆, 山田 貴延, 堀部 明彦, 春木 直人
    2017 年 31 巻 3 号 p. 125-130
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー

    100°C以下の低温熱源の熱エネルギー(工場廃熱や温泉熱など)は,ほとんど使われることなく捨てられており,有効利用されることが望まれる.これらの熱源は,供給が不安定で偏在しているため,各所から熱回収して蓄熱貯蔵した上で利用することが有効と考えられる.本研究の目的は,熱回収,潜熱蓄熱および管内搬送可能な熱媒流体としてのナノサスペンション(懸濁液)型潜熱蓄熱材の粘性特性を評価することにある.ナノサスペンションの組成は,微細化分散質(潜熱蓄熱物質)であるテトラコサン(CH3(CH2)22CH3 = 338.66,純度>99%,融点50.6°C:文献値),分散媒(連続相)としての蒸留水および非イオン界面活性剤である.本報は,回転粘度計(ThermoScientific, HAAKE Viscotester 550)を用いて非ニュートン性を含むナノサスペンション型潜熱蓄熱材の粘性を測定し,管内搬送設計に必要な粘性特性を評価した結果を示すものである.測定の範囲は,せん断速度500 1/s以下,および温度10~84°Cでである.実験データは,べき乗法則を用いた粘度と指数の実験式として整理された.

  • 曽我 宏輔, 齊藤 卓志, 石川 和紀, 川口 達也, 佐藤 勲
    2017 年 31 巻 3 号 p. 131-136
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー

    セラミックスフィラー添加高分子複合材料はその熱伝導率の高さと電気絶縁性からパワーデバイス周りで使用されている.しかし,熱伝導率を上げるためにフィラー含有率を増加させると絶縁破壊電圧が低下する傾向がある.よって,この材料の絶縁破壊特性を把握することは,より性能の高い材料設計に必須である.そこで本研究では,セラミックスフィラー添加高分子複合材料の絶縁破壊特性を数値シミュレーションにより求め,実験により得られた窒化ホウ素およびボイドを含むフィルム状の複合材料の絶縁破壊電圧との比較を行った.数値シミュレーションでは実際の材料の断面をSEMにより観察した二次元画像を用い,実験と同様に試料の厚さ方向にわたる絶縁破壊現象をモデル化することで,材料中に含まれるボイドが絶縁破壊の起点となる様子が示された.得られた結果より,本研究で想定した材料では,試料厚さ方向のボイド率が絶縁破壊電圧に最も大きな影響を与える要素であると示唆された.

feedback
Top