熱物性
Online ISSN : 1881-414X
Print ISSN : 0913-946X
ISSN-L : 0913-946X
32 巻, 2 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
  • 細野 和也, 西 剛史, 太田 弘道
    2018 年 32 巻 2 号 p. 70-79
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/18
    ジャーナル フリー

    フラッシュ法による試料の熱拡散率測定は,通常,試料全面を照射して一次元熱伝導が近似出来る条件で行う.しかし薄い試料をリング状加熱光で加熱して径方向の熱伝導を生じさせて熱拡散率を測定する手法や,加熱光径より大きい試料を測定する場合には試料周辺部の非照射領域への径方向熱伝導が生じ,二次元熱伝導解析を行う必要がある.本稿では高温で重要となる熱放射の影響を考慮した解析を行った.軸対称座標における熱伝導方程式を用いてラプラス空間における軸対称試料温度式を導き,同式を用いて厚さ方向・径方向熱流束下における試料熱拡散率の最小二乗法による解析法を開発した.解析法は,解析対象となる熱拡散率とビオ数を独立変数として二乗偏差の最小値を探索する解析法(直接法)と試料裏面温度低下領域における減衰時定数の測定値と理論式を等しいとする付加条件のもとに二乗偏差最小値を探索する解析法(時定数法)の2つであり,いずれも試料の熱拡散率が求められることを確認した.

  • 細野 和也, 西 剛史, 太田 弘道
    2018 年 32 巻 2 号 p. 80-87
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/18
    ジャーナル フリー

    吸収係数と試料厚さの積である光学厚さが0.1程度より小さい半透明体の熱伝導は,拡散伝熱と端面間の放射熱伝達に近似できることが確認されている.端面間の放射伝熱が拡散伝熱に比較して無視できる温度域では,通常の拡散伝熱を想定した測定法が適用でき,単層ガラスの熱拡散率が測定されている.無視できない温度域においては端面間放射伝熱による測定誤差が生じるため,両端を不透明化した単層材に対して端面間放射伝熱を考慮した測定法が開発されている.しかし,従来の方法では熱容量や熱拡散率が無視出来るような薄膜を両端の不透明膜として用いていたため蒸発や拡散が活発となる高温域では不透明膜の耐熱性に限界があった.光学厚さが小さく透明体近似可能な半透明体を耐熱性が高く熱容量と熱拡散率を無視できないような厚さの不透明材で挟んだ3層材料として,低温域から高温域まで広い温度域で透明体の熱拡散率測定が可能な方法を検討した.このような3層材料の熱伝導方程式を試料表裏面の放射損失を考慮してラプラス空間で解析し,裏面温度式を導いた.同式を用いて光学厚さが小さい第2層半透明体の熱拡散率,透熱係数およびビオ数をラプラス空間における最小二乗法にて決定する方法を検討した.具体的にはこれらを独立変数として解析する方法(直接法)と実空間における試料裏面温度の低下領域の減衰時定数を用いて導出する方法(時定数法)を取り上げ,両方法とも解析対象層の熱拡散率を求められることを精度評価により実証した.

feedback
Top