日本高気圧潜水医学会雑誌
Online ISSN : 2760-2257
Print ISSN : 2759-6796
最新号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
原著
  • 錦織 秀治, 森松 嘉孝, 石竹 達也
    2025 年60 巻4 号 p. 191-199
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/03/06
    ジャーナル フリー
    本研究では,我が国における職業性潜水士の労働環境,安全衛生活動,健康影響,教育歴,知識理解の状況を包括的に把握し,減圧障害との関連要因を明らかにすることを目的として,全国544事業所に所属する潜水士を対象にWebアンケート調査を実施した(有効回答210件)。その結果,潜水士の年齢や年間業務量が減圧障害の有無に有意に関連していた。一方,教育歴や潜水方法,情報収集状況などは有意な関連を示さなかった。安全衛生活動においては,ダイビングコンピュータの使用頻度や減圧表の理解度に個人差があり,緊急時の対応能力にもばらつきが見られた。また,減圧障害の理解度やM値に関する知識の普及が不十分であり,教育機会の地域差や再圧治療へのアクセス格差も指摘された。本調査は,2015年の高気圧作業安全衛生規則の改正後に実施されたことから,先行調査と比較して制度認識や安全行動に一定の改善が認められたが,依然として教育・情報提供・医療体制には課題が残る。今後は,更新制の導入や標準化された教育プログラム,地域格差の是正,緊急対応力向上などを含む安全衛生体制の整備が求められる。本研究は,制度改正後の実態を反映した初の包括的調査として,今後の政策立案に重要な示唆を提供する。
  • 桑田 紗也加, 横溝 伸也, 井桁 洋貴
    2025 年60 巻4 号 p. 200-210
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/03/06
    ジャーナル フリー
    背景:高気圧酸素療法(HBOT)は高気圧環境下で純酸素を投与し低酸素障害を改善する治療法であり,圧変動が耳痛を引き起こす。
    目的:当院におけるHBOT施行中の耳痛発生状況とその背景を調査する。
    方法:令和4年12月19日~令和5年12月19日にHBOTを受けた126名(治療件数1,717件)を対象に,性別,年齢階層,疾患別,初回治療群・非初回治療群に分け,それぞれにおける耳痛発生率および層別の耳痛発生時の気圧について検討を行った。
    結果:全体の耳痛発生率は8.4%であった。特に80歳以上の高齢者や初回治療群で耳痛の発生率が高く,加圧初期に耳痛が多く発生する傾向が確認された。加齢に伴う耳管のコンプライアンス低下や,加圧変化への未順応が要因と考えられる。
    結語:高齢者やHBOT初回施行時,加圧初期における耳痛リスクに留意し,丁寧な観察,耳痛の発生を緩和するための対応が重要である。
feedback
Top