日本獣医麻酔外科学雑誌
Online ISSN : 2189-6631
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ISSN-L : 2189-6623
46 巻, 1 号
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短報
  • 関 瀬利, 関 真美子, 萩原 聡子, 八重樫 昌也, 手島 健次, 浅野 和之, 山谷 吉樹
    2015 年 46 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    頸部のオンコサイトーマと診断された10歳齢の避妊雌のスピッツが腫瘤再発の精査のために紹介来院した。胸部X線検査で肺水腫が確認され、症例はその検査時に重度の呼吸困難を呈し始めた。挿管し、陽圧換気と呼気終末陽圧を実施したところ、第2病日後に肺野の浸潤陰影が消失した。頸部腫瘤に関連した陰圧性肺水腫が示唆され、切除不可能な腫瘤によって生じた上部気道狭窄を緩和するために永久気管開口術が実施された。犬は第13病日に退院し、術後312日まで生存した。
  • 座間 ともね, 印牧 信行, 南 毅生
    2015 年 46 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    ウエルシュ・コーギー、13歳雌に発生した変片側眼球内骨肉腫に遭遇し、超音波検査、CT検査ならびにMRI検査を実施し、眼球摘出術を行った。患眼のCT検査において、眼球壁および眼球内に高密度病変部が認められたことから、CT検査は原発の眼球内骨肉腫の鑑別診断に有用と考えられた。本症例では眼球摘出後46日後に局所再発が認められ、その後脳内への浸潤を示唆する臨床症状を示したため、安楽死を行った。眼球内骨肉腫は他の眼球内腫瘍に比べて、短時間で再発し、悪性度が高いものと考えられた。
  • 工藤 徹也, 中野 康弘, 南 毅生
    2015 年 46 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    6歳、去勢雄、体重2.0 kgのヨークシャーテリアが進行性に悪化する吸気性喘鳴を主訴に紹介来院した。頸部レントゲン検査では咽頭および喉頭に軟部組織デンシティの腫瘤陰影が認められた。口腔および喉頭検査では腫瘤性病変により喉頭を確認することはできず、気管切開チューブを使用して麻酔維持を行った。CT検査では咽頭および喉頭にそれぞれ独立した軟部組織性腫瘤を認め、咽頭部腫瘤は病理組織検査で横紋筋肉腫と診断された。気道の確保のために永久気管開口術を行い、腫瘍に対しては緩和的放射線治療を実施した。放射線治療後に腫瘍は縮小し、臨床症状は改善したが、術後26ヶ月で再度呼吸困難が認められた。CT検査では咽頭の腫瘍は消失していたが、喉頭の腫瘍が拡大していたため、2クール目の放射線治療を実施した。2クール目の放射線治療後に再度腫瘍は縮小し、臨床症状も改善した。術後35ヶ月で実施したCT検査では咽頭および喉頭の腫瘍は共に消失していた。術後40ヶ月に至る現在も、臨床症状はなく、良好に経過している。犬の咽頭および喉頭に発生する横紋筋肉腫は、遠隔転移しづらく、放射線治療に感受性がある可能性があり、今後も症例を重ねて情報を蓄積する必要がある。
  • 伊東 輝夫, 水永 夕葉, 西 敦子, 藤本 誠一郎, 池田 文子, 内田 和幸, 椎 宏樹
    2015 年 46 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/01
    ジャーナル フリー
    犬の腎臓血管肉腫の2例に対して腎摘出術を行った。症例1は右腎腫瘤にともなう血尿がみられ、腎摘出術を実施した後に血尿は消失したが、肝臓と脾臓の転移をともなって術後75日目に死亡した。症例2では大きな左腎腫瘤と持続性血尿がみられ、腎摘出とカルボプラチンを用いた化学療法を実施した。術後に血尿は改善したが、肺と皮膚に転移がみられ術後197日目に死亡した。2例とも追跡期間中に原発部再発はみられなかった。犬の腎臓血管肉腫において腎摘出術は局所制御には有効であるが、生存期間の延長には術後の補助療法が必要と思われた。
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