日本獣医麻酔外科学雑誌
Online ISSN : 2189-6631
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ISSN-L : 2189-6623
46 巻, 2 号
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短報
  • 座間 ともね, 南 毅生
    2015 年 46 巻 2 号 p. 25-30
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/24
    ジャーナル フリー
    猫、短毛在来種、推定年齢8-10歳、不妊手術済み雌猫が、頸部の腹側への屈曲、痙攣発作、虚脱を主訴に来院した。血液検査では低K血症が認められ、腹部X線検査ならびに超音波検査において右側腎臓頭側に副腎に由来すると思われる腫瘤陰影が認められた。低K血症に対する内科療法では、臨床症状のわずかな改善しか得られなかった。また追加の血液検査において、血中アルドステロン濃度の上昇、血清レニン活性の低下が認められた。腹腔内腫瘤は外科的に摘出され、病理組織学的に副腎由来の腺癌と診断された。以上のことから本症例は、副腎腺癌による原発性アルドステロン症と診断された。術後は臨床症状と低カリウム血症は速やかに改善し、4年5ヶ月の長期にわたり生存可能であった。
  • 大久保 雄作, 三品 美夏, 茅沼 秀樹, 渡邊 俊文
    2015 年 46 巻 2 号 p. 31-35
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/24
    ジャーナル フリー
    排尿困難を主訴として、8歳、去勢雄のゴールデン・レトリバーが来院した。肉眼的に症例の会陰部は腫脹しており、逆行性尿路造影検査では会陰部尿道内にテニスボール大の腫瘤性病変が確認された。排尿困難の改善を目的として、会陰部正中から外科的にアプローチし、腫瘤周辺の尿道の一部分とともに腫瘤を摘出し、同時に外尿道口の再建を行った。摘出した腫瘤は病理組織学的に平滑筋腫と診断され、摘出後は良好な臨床経過が得られた。
  • 伊東 輝夫, 西 敦子, 内田 和幸, チェンバーズ ジェームズ, 椎 宏樹
    2015 年 46 巻 2 号 p. 37-41
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/24
    ジャーナル フリー
    脊椎原発骨肉腫は犬では稀な疾患であり、その治療や予後に関する報告は少ない。本報告では減容積手術を実施した3例について述べる。症例1は雑種犬、12歳、雌、体重10kgで、第3腰椎の骨肉腫による進行性の後肢麻痺がみられた。減容積手術で麻痺は一時的に改善したが、その後麻痺が進行し、術後46日目に安楽死させた。症例2は雑種犬、8歳、雌、体重15 kgで、第12胸椎の骨肉腫による急性の後肢麻痺がみられた。減容積手術と6回のカルボプラチン治療により7ヶ月以上歩行機能の維持が可能であった。症例3はウエルッシュ・コーギー・ペンブローク、10歳、雄、体重11 kgで、第5胸椎骨の肉腫による後肢麻痺を急性発症した。減容積手術を実施したが麻痺は改善せず、術後27日目に死亡した。以上の症例の治療経過から、脊椎骨肉腫の減容積切除は診断と緩和に有効であるが、予後は症例によって大きく異なることが示唆された。
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