動物病院に来院したネコ合計192例を対象にセラメクチン経皮投与剤の臨床試験を行った。体重1kgあたりセラメクチン6mgを基準量として経皮投与した。ノミ駆除試験では, 投薬30日後の陰転率は, セラメクチン群で57% (n=96), フェンチオン群で19% (n=27) であった。投薬30日後に体表のノミを除去し寄生予防を目的とし投薬を継続した結果, 60および90日目の陰性率は, セラメクチン群で81%および92%, フェンチオン群で46%および35%であり, いずれの検査日においてもセラメクチン群の陰性率はフェンチオン群と比較して有意に高かった。ミミヒゼンダニ駆除試験では, 投薬30日後のミミヒゼンダニ陰転率はセラメクチン群で96.1% (n=51), ロテノン/アレスリン群で37.5% (n=8) であり, 両群の間に有意差が認められた。両試験においてセラメクチン投与との因果関連が疑われる有害事象は認められなかった。以上の成績からセラメクチンの滴下型経皮投与剤の基準量6mg/kg投与は, ネコのノミおよびミミヒゼンダニの駆除に有効であった。また1ヵ月間隔で3回継続投与することにより90%以上のネコでノミの新たな寄生が予防され, かつネコに対して本剤が安全であることが確認された。
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