獣医臨床皮膚科
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14 巻, 2 号
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原著
  • 岩崎 利郎, 永田 雅彦, 大室 農夫, 安藤 純
    原稿種別: 原著
    2008 年 14 巻 2 号 p. 71-75
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル フリー
    日本国内では犬の細菌性膿皮症に対する動物用抗菌剤の臨床試験基準がこれまで存在せず,客観的な評価が十分ではなかったために新たなガイドラインが動物抗菌剤研究会により示された。このガイドラインが臨床的に適切かどうかを実際の細菌性膿皮症症例を用いて検証したところ,発赤,丘疹/膿疱,痂皮,脱毛,腫脹/熱感,疼痛の各項目に対するスコア,ならびにそれらの総合スコアの評価で2人の異なる獣医師間の評価に相関性がみられた。また,従来の獣医師による評価を行い,それとも比較したところやはり両方の評価法間に相関性がみられた。したがって,新規の臨床試験基準は科学的に妥当と認められ,従来の評価方法と比較して矛盾はないものと考えられた。
症例報告
  • 満田 千賀, 織田 春人, 永田 雅彦
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 14 巻 2 号 p. 77-80
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル フリー
    3歳齢,雄,ヨークシャー・テリアの鼻周囲および耳介に漸次増大する結節が多発性に生じ,鼻周囲の結節は花弁状に配列していた。病理組織学的検査で真皮上層はびまん性,真皮下層では付属器に一致するように著しい細胞浸潤がみられた。浸潤細胞は組織球,リンパ球が主体で好中球が若干認められた。Sterile Granuloma and Pyogranuloma Syndromeと診断しプレドニゾロンで治療を開始した。皮疹は縮小するも漸減時に新生しグリセオフルビンを併用したところ4週間後に全て消退,8ヵ月を経過するも再発を認めていない。
  • 小沼 守, 小野 貞治, 上木 万里子, 久山 昌之
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 14 巻 2 号 p. 81-83
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル フリー
    ヒトのアトピー性皮膚炎(AD)では,経皮水分蒸散量(TEWL)の増加と共に,角質水分量の低下を認めることが知られている。セラミドは角質細胞間に分布する代表的な角質細胞間脂質であり,過剰なTEWLの増加を防ぐと共に,角質水分量を保持するはたらきをもつ。今回,慢性経過をたどるADの犬に対し,経口グリコシルセラミドを併用したところ皮膚症状の改善を認めた。以上より,経口グリコシルセラミドは犬ADの症例に対する補助食品として,選択肢の一つとなる可能性が示唆された。
  • 苦瀬 寛史, 西藤 公司, 関口 麻衣子, 高島 敏裕, 薮添 敦史, Moore Peter F., 永田 雅彦, 代田 欣二, 岩崎 利 ...
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 14 巻 2 号 p. 85-89
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/09
    ジャーナル フリー
    4歳齢,未避妊雌のミニュチュア・ダックスフントの胸部正中に,脱毛を伴う直径約5 cmの局面状皮疹を認めた。皮疹の一部には直径1 cmの軟らかい小結節を2ヵ所認めた。病変部にかゆみあるいは疼痛は認められなかった。病理組織学的に,病変部では表皮直下から皮下組織にかけて,広範囲に組織球様細胞の浸潤増殖を認めた。免疫組織化学染色により浸潤細胞は,CD1,CD11c,MHC class II,E-cadherinに陽性,CD3,CD4,CD90,CD45RAに陰性であった。以上の所見により,自験例を非特異的な皮疹を呈する皮膚組織球腫と診断した。現在,切除後9ヵ月経過するが,皮膚および他臓器に病変を認めず経過は良好である。
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