獣医臨床皮膚科
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15 巻, 4 号
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症例報告
  • 佐藤 良彦
    2009 年 15 巻 4 号 p. 187-190
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    3歳の雌犬,ミニチュアダックスの左外陰部に著しい腫脹を認め,さらに膣壁周囲の軟部組織に直径約2 cmの腫瘤が触知された。腫脹部から吸引した膿汁の顕微鏡検査で多量の好中球と細菌が観察されたことから,本例を外陰部膿瘍と診断した。腫脹部の切開と排膿,消毒薬による洗浄を行い,深部の腫瘤を半導体レーザーメスで切除し,アンピシリンとクロキサシリンの合剤を2週間投与したところ完全に治癒した。細菌検査では,膿汁から Bacteroides sp.が分離された。病理組織学的検査で,膿瘍内に多量の好中球とマクロファージが浸潤し,周辺に肉芽組織の形成が認められた。本例は Bacteroides sp.が分離された外陰部膿瘍の稀な症例と考えられた。
  • 池水 智博, 山田 一孝, 安住 尚也, 高橋 徹成, 小嶋 靖, 池水 昭一
    原稿種別: 症例報告
    2009 年 15 巻 4 号 p. 191-196
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    犬アトピー性皮膚炎(Canine Atopic Dermatitis, CAD)と診断した柴犬2例に酸性キシロオリゴ糖(4-O-methyl-glucurono-xylooligosaccharides, MeG-XOS)を経口投与した。その結果,いずれの症例においても,投与後に皮膚炎および痒みの改善,発毛が認められた。また自験例では投与後に,アレルゲン特異的血清IgE抗体検査において陽性項目数の減少が認められたとともに,投与後も陽性であった項目については,投与前と比較して抗体価の低下がみられた。さらに自験例では,投与後においてCADESI-01および痒みスコアの改善がみられた。なお,観察期間中,消化器症状等の副作用は認められなかった。今回の使用経験から,酸性キシロオリゴ糖はCADの症例に使用しうる機能性食品であると考えられた。
  • 澤部 啓子, 加納 塁, 鎌田 寛
    原稿種別: 症例報告
    2009 年 15 巻 4 号 p. 197-200
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    11才齢,雄の雑種犬が慢性の細菌性外耳炎のため抗菌剤による治療を受けてきたが,再発を繰り返すため2009年4月に当院へ受診した。両外耳には,緑色排膿とびらんが認められた。膿の塗抹標本から好中球と多数の桿菌が認められたため,分離同定と薬剤感受性試験を行った。起因菌は緑膿菌で,多剤に対し耐性であったが,ホスホマイシンナトリウム,オフロキサシンには感受性が認められた。外耳道の洗浄および4週間ホスホマイシンナトリウム内服とオフロキサシン外用を行ったところ,外耳炎が認められないことから治療を終了して現在に至っている。このように多剤耐性の化膿性外耳炎を防ぐには早期に細菌培養および薬剤感受性試験を行い,適切な治療を行うことが肝要といえる。
  • 清水 裕子, 横山 真緒, 清水 栄治, 永田 雅彦
    原稿種別: 症例報告
    2009 年 15 巻 4 号 p. 201-205
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    ペットショップ自家製ドッグフードを与えられていた5歳齢,去勢雄,ミニチュア・ダックスフンドの口囲に鱗屑,肉球に糜爛潰瘍,包皮先端・肛囲に糜爛が生じ当院を受診した。全身症状はなく,血液検査で特記すべき異常も認めなかった。病理組織学的検査では,表皮および毛包内の不全角化と真皮浅層の炎症がみられた。ジェネリック・ドッグフード皮膚症を疑い,食事として適切なミネラルを含量し,亜鉛や必須脂肪酸が増強されたセレクトプロテインライト(コッド&ライス)ドライフード(ロイヤルカナンジャポン,東京)に変更したところ,約1週間で改善傾向がみられ,4週後に軽快した。後日実施したフードの食品分析結果において,亜鉛と銅がAAFCOの成犬最小栄養素許容量以下であった。
  • 臼井 玲子, 臼井 良一, 福田 美奈子
    原稿種別: 症例報告
    2009 年 15 巻 4 号 p. 207-210
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    両側の耳道が閉塞した3歳齢,雌のアメリカン・コッカー・スパニエルに対し,セフポドキシム プロキセチルとケトコナゾールの全身投与とvideo otoscopeを用いた耳道の治療を3回行った。耳道の洗浄にはポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルを含む洗浄液を用い,耳道内に充満する分泌物や毛は把持鉗子で除去した。初診の治療時には,耳道閉塞のためvideo otoscopeが十分挿入できず,鼓膜は確認できなかった。第12病日の2回目の治療の際には耳道の腫れが軽減し,鼓膜周辺から汚れた毛と耳垢を除去し,その後洗浄した。第29病日の3回目の治療時には,ツチ骨柄が確認できるまでに耳道の病変が軽快しており,耳道内分泌物を除去し洗浄した。Video otoscopeによるリアルタイムな可視下での治療は,安全で確実な処置が可能であり,本例は耳道および鼓膜の状態が好転し,外科的処置を免れることができた。
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