3歳の雌犬,ミニチュアダックスの左外陰部に著しい腫脹を認め,さらに膣壁周囲の軟部組織に直径約2 cmの腫瘤が触知された。腫脹部から吸引した膿汁の顕微鏡検査で多量の好中球と細菌が観察されたことから,本例を外陰部膿瘍と診断した。腫脹部の切開と排膿,消毒薬による洗浄を行い,深部の腫瘤を半導体レーザーメスで切除し,アンピシリンとクロキサシリンの合剤を2週間投与したところ完全に治癒した。細菌検査では,膿汁から
Bacteroides sp.が分離された。病理組織学的検査で,膿瘍内に多量の好中球とマクロファージが浸潤し,周辺に肉芽組織の形成が認められた。本例は
Bacteroides sp.が分離された外陰部膿瘍の稀な症例と考えられた。
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