約6年間に皮膚科診療施設を受診した犬1,407頭,猫178頭,ヒト患者24,657人を対象とし,Common Skin Diseases(CSD)を比較検討した。ヒトと犬に共通するCSDは脂漏性皮膚炎,アトピー性皮膚炎,疥癬で,ヒトと猫に共通するCSDは皮膚炎・湿疹,皮膚糸状菌症(白癬)であった。なお犬と猫ではヒトのCSDである接触皮膚炎,ウイルス性疾患,母斑性疾患などの受診がまれであった。ヒトおよび犬と猫の両者に共通してみられる各種皮膚疾患の名称,定義,概念の統一化に課題はあるが,上記疾患を中心とした比較皮膚科学的検討の有用性が示唆された。
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