獣医臨床皮膚科
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22 巻, 2 号
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総説
原著
  • Thomas W. Westermann, Peter B. Hill, Mandi N. Carr
    2016 年 22 巻 2 号 p. 83-90
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/09
    ジャーナル フリー
    目的:南オーストラリアでのアルパカ群の皮膚病の有病率の決定,およびそれらの皮膚表面の状態を確認するため。方法:南オーストラリアでの異なった3地域において,2013年春期の16日間にわたり,アルパカを専門的に剪毛する職人の貢献による。皮膚病変は,11の異なった皮膚症状および体表を15個所に分けたボディスコア表に従って記録した。結果:338頭のアルパカからデータが得られ,それらのうち60.4 ± 5.2%が一または二か所の皮膚病変を保持していた。最も多く認めた皮膚症状として,鱗屑および苔癬,痂皮,脱毛,紅斑を300回以上認めた。最も病変の多い部位は,前肢および後肢,腋窩,後肢足底部であった。病状と解剖学的部位とは,顕著な相関(カイ二乗検定,p<0.0001)が存在した。まとめ:南オーストラリアにおけるアルパカの亜集団におけるこの調査は,被験個体群の約60%に皮膚病変を保有していることが判明した。主な病状と病変部位から,被毛の価値に影響を及ぼさないだろうと推測された。
  • Steven P. D’Ambrose, Danny W. Scott, Hollis N. Erb
    2016 年 22 巻 2 号 p. 91-95
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/09
    ジャーナル フリー
    我々は,31頭の健常猫および様々な炎症性皮膚症を伴う392頭の猫の皮膚生検内の表皮基底細胞(正確に同定した)における水腫様変性の発生率について,病理組織学的に回顧的研究を行った。表皮基底細胞の水腫性変性は,病理組織学的に境界皮膚炎として特徴づけられた免疫介在性皮膚症のうちの一少数グループ:皮膚の薬剤副作用反応,円盤状エリテマトーデス,多型紅斑,胸腺腫に伴う剥離性皮膚症,全身性エリテマトーデスに顕著に関連して存在した。5つに診断されたこのグループにおいて,水腫性変性の発生率は,35%(95%の信頼水準で,16~59%の信頼区間);他の疾患においての発生率1.1%(0.34~2.9%の信頼区間)であって,健常猫での発生率は0%(0~14%の信頼区間)であった。
  • Daniel C. Fickle, Danny W. Scott, Jeanine Peters-Kennedy, Hollis N. Er ...
    2016 年 22 巻 2 号 p. 97-103
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/09
    ジャーナル フリー
    今回の研究目的は,犬の酵母による皮膚炎における毛嚢脂腺の異形成の病理組織学的所見,出現率そして関連性についてである。670頭の犬の非腫瘍性皮膚症および28頭の健常犬からのHE染色した皮膚生検試料について,光学顕微鏡学的に行った回顧的な研究である。犬の酵母による皮膚炎,正常皮膚,非酵母性皮膚症における毛嚢脂腺の異形成の発生率および存在量を比較するために,カイ二乗および順位和検定を行った。犬の酵母による皮膚炎における毛嚢脂腺の異形成は,98頭中76頭(78%;95%の信頼水準で,68~85%の信頼区間)で,非酵母性皮膚症では14頭中572頭(2.4%;95%の信頼水準で,1.4~4.2%の信頼区間)であった。毛嚢脂腺の異形成は,正常犬では認められなかった(95%の信頼水準で,0~15%の信頼区間)であった。毛嚢脂腺の異形成の発生率(存在する/しない)は,非酵母性皮膚症および正常犬に比べて,酵母による皮膚炎において顕著に有意差が認められた(カイ二乗検定=424.49;自由度2;p<0.0001)。またこれらの群における毛嚢脂腺の異形成の病変単位の%は,非酵母性皮膚症(一頭当たりの病変単位,最少3%;平均30%;最大100%)に比べて,酵母による皮膚炎(最少12%;平均75%;最大100%)において顕著に多かった。毛嚢脂腺の異形成の発生率は,非酵母性皮膚症および正常犬において有意な差は存在しなかった(p≥0.05)。犬の皮膚生検試料の毛嚢脂腺の異形成の存在についてのこれらの所見は,酵母性皮膚症が顕著に関連し,そして組織学的診断になると考えられた。
症例報告
  • 高安 浩平, 村井 妙, 安野 恭平, 小林 亮介, 池田 智武, 上家 潤一, 代田 欣二
    2016 年 22 巻 2 号 p. 105-111
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/09
    ジャーナル フリー
    8歳,未去勢雄の右側大腿部皮膚に発生した小腫瘤を骨外性粘液性軟骨肉腫と診断した。組織学的に腫瘍は小葉構造を示し,血管に乏しく粘液性基質に富んでおり,腫瘍細胞は多形性で特徴的細胞索を形成していた。免疫染色で腫瘍細胞はvimentin,S-100a,neuron-specific enolaseおよび synaptophysin に陽性を示した。切除手術6ヵ月後には再発や転移を認めなかったが,15ヵ月後には右大腿部から腹部に亘る大きな再発腫瘍と多発性肺腫瘍を認め,剖検により,これらの腫瘍が原発腫瘍と同様であり,軟骨や骨を侵襲していない事が確認された。
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