12歳の去勢済,シベリアン・ハスキーに,機能性甲状腺癌に随伴すると考えられた脱毛,膿皮症および下痢が認められたため精査加療を行った。甲状腺摘出術と術後の甲状腺ホルモン補充療法により全ての臨床症状が消失した。また治療開始後1年の間,脱毛や膿皮症,消化器症状の再発などは認められなかった。著者らの知る限り,本論文は機能性甲状腺癌に随伴して被毛や皮膚,消化器に異常を認めた犬に関する初めての報告である。
Malassezia pachydermatisとStaphylococcus intermediusに対する植物ポリフェノールの抗菌活性を調査した。ポリフェノールはエピガロカテキン,エピカテキンガレート,没食子酸エピガロカテキン,カスタラギン,カテキン,テアフラビン,テアルビジン,プロシアニジン,プロデルフィニジン,ミリシトリン,ルチンそしてレスベラトロールを用いた。これらポリフェノールの最小発育阻止濃度(MIC)は寒天平板培地法により求めた。M. pachydermatisとS. intermediusに対するMICが最も低値であったのはカスタラギン(それぞれ100 μg/mlと50 μg/ml)であった。以上の結果から,カスタラギンはM. pachydermatisとS. intermediusグループが原因となるイヌの皮膚疾患の治療薬として効果的である可能性が示された。