犬アトピー性皮膚炎(CAD)に対する国際的な診療ガイドラインが,2015年にInternational Committee on Allergic Diseases of Animalsから発表された。しかしながら,日本と諸外国における獣医療の相違から,本ガイドラインはわが国の臨床実態を完全には反映していない。そこで,日本獣医皮膚科学会では,平成28年度は診断,平成29年度には治療に関する指針の作成を試みた。しかしながら,エビデンス不足により両指針作成は完遂できなかった。重要課題として,日本のCAD好発犬種における臨床的特徴を明らかにすること,重症度の新規評価法を確立することが挙げられた。特に,CADに対する治療効果を評価できるバイオマーカーの確立に向けて,学会主導の臨床研究を推進することが重要と考えられた。