雑種猫,3歳3ヶ月齢,未去勢雄に多発性丘疹結節および腫瘤,ならびに皮膚硬化が認められた。皮膚生検の検体および斃死後の剖検検体を病理組織学検査に供したところ,皮膚腫瘤/結節および硬化部位の皮膚のみならず,骨格筋膜や臓器漿膜にも広範囲に紡錘形細胞の増殖が認められ,皮膚結節の一部では線維肉腫に矛盾のない組織像が認められた。抗猫白血病ウイルス抗体を用いた免疫染色では,前述した紡錘形細胞の細胞質が陽性となったことから,前述の組織学的変化が猫白血病ウイルスまたは猫肉腫ウイルスに関連した可能性が示唆された。
臨床症状および病理組織学所見が角層下膿疱症と合致した犬を経験したので報告する。全身性に丘疹・膿疱を形成した。細菌培養検査により,無菌性膿疱と診断した。病理組織学検査では,角層下に形成された膿疱が観察された。膿疱形成に先行してノミ刺咬症及び熱中症に罹患しその治療中及び治療終了直後には膿疱は確認されなかった。これより今回観察された病変は発生初期段階であったと認識された。病態初期では痒みを伴わない症例が存在する可能性が有ると思われる。ダプソンを用いた治療を行った結果,早期に治療改善を認めた。