含砒低炭素鋼を電弧熔接棒心線として使用する場合に得られる熔着鋼の衝撃値は,心線含砒量と共に低下するのであるが,此低下を防止するには如何なる對策を講ずればよいかは重要なる問題である.
本報に於いては,被覆劑の脱酸能と熔着鋼の衝撃値との關係に就き研究し,次の結果を得た.
a)含砒鋼心線より成る被覆棒を用ひ,軟鋼を熔接するどき得られる燐着鋼の低衝撃値(並に低延伸率)は被覆劑中に適當なる脱酸劑の適量を配合し置くことによつて著しく改良し得られる.
b)含砒量著しく大なる心線鋼を使用せねばならぬ場合には,被覆劑中の脱酸劑としてフェロマンガンよりマンガン珪素合金又は更にクロムを添加することが有利である.
そして斯る脱酸劑による熔着鋼の改良は吹の理由に據ると考へられる.
i)熔着鋼がよく脱酸されゝば砒素の酸化物は減少し,之に基く介在物は減少する.そして凝固した熔着鋼は此爲に粘靱となる.
ii)熔融鋼の脱酸により砒素が蒸發散逸し,地鐵中の含批量が減じ凝固後フェライトの地が軟く變形能大となる.
即ち之等2つの傾向に基き熔着鋼の衝撃値及び延伸率は改良せられ,從つて熔着鋼内割れ發生傾向の減少が期待されるのである.
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