6mmおよび12mm厚さの2 1/4Cr-1Mo鋼(ASTMF 22)とオーステナイト系ステンレス鋼(AISI 316)の異材継手および炭素鋼(SM 41A)の同材継手について,インサート型電子ビーム溶接による適正裏波溶接条件選定を目的とした諸試験を行なった結果,次の結論を得た.
1)最大溶込み深さ部近傍における溶接部の諸特性のうち,スパイク現象については,最大スパイク長さが1.5mm以下のものが全体の約80%を占め,それを越える長さのスパイクの発生頻度は急激に減少する.また,ペネトロパラメータP
pが約6以上になると,1.5mmをこえる長さのスパイクが発生し易い.なお,ビード断面形状については,溶込み部先端が極端に細いクサビ(Wedge)型ビードを形成する.
いっぽう,最大溶込み深さ部以外における溶接部の諸特性のうち,スパイク現象については,1.5mmをこえる長さのスパイクが発生し始めるP
p,sはa
b>0.90のときP
p,s>6,a
b≈0.90でP
p,s≈6,a
b<0.90はでP
p,s<6になり,a
bの減少とともに小さくなる.また,ビード断面形状については,同一条件(同じ電子ビーム)で,同一溶込み深さの得られるa
bは2個存在し,a
b>0.90の場合はビード断面形状は井戸(Well)型に近く,ab≦0.90の場合はクサビ(Wedge)型に近い.
2)インサート型電子ビーム溶接法による裏波溶接においては,インサートメタルの幅以上の断面ビード幅を有し,スパイク現象の発生が少なく,表面および裏面部のビード幅がほぼ等しいような井戸型ビード断面形状の得られる溶接条件を選定しなければならない.このような条件を満足するa
bはほぼ1.20前後である.また継手形状としては,ルートスペースを有する継手形状を採用することにより,裏波溶接が容易になる.また,良好な表面および裏波ビードを得るためには,ビード断面形状および余盛高さの観点より,インサートメタルの高さを継手部の厚さにほぼ等しくなるように選定することが望ましい。
3)ルートスペースを有する継手形状を採用することにより,適正溶接条件範囲が広くなり,板厚が増大するにつれてその有効性は著しくなる.その場合の裏波ビード形成機構は対流型に近づく.また,管の溶接の場合において問題となるスパッタについても,ルートスペースを付すことにより,著しく減少し,実用的価値が高い.
4)脱酸不十分な炭素鋼の同材継手において,インサートメタルを使用しない場合には欠陥の発生は著しい.しかし,強脱酸性を有するアルミキルド鋼のインサートメタルを使用した場合にはインサートキャップ高さ(またはインサートメタル高さ)または断面積が増大するに従って溶接部に発生する欠陥は減少する。
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