本稿の論考は薄板の場合について文献(2)に述べたところに対応したもので,無限厚板の場合の移動熱源による温度特性についてであって,要点は次の通り.
(1)文献(1)に求めた基本式を用いて準定常状態のみならず,起動端,停止端付近の温度曲線を求めた.
(2)移動速度をυ=∞とした場合の温度曲線は簡明であるが,υ=∞,υ≠∞の曲線を比較すると温度曲線の理解に役立つ.移動熱源の場合の温度曲線はn-Xの形で示されるが,これを(24)式のような換算で,m-t/τの形で表示し,両者の比較が可能となる.
(3)比較してみると,準定常の温度についてはすでに佐藤が指摘している通り,移動熱源の場合の方がその最高値は低いが,時間が少し経過した状態では差は微少となる.Fig.9
起動端,停止端付近ではたとえばt/τ>5では起動端側がυ=∞の場合に比べて少し高く,停止端側は少し低い.この高低の関係は定性的には薄板の場合と全く逆である.しかし定量的には一般に無視してよかろう.Fig.12.
ビード端(E,E')そのものに注目すると,起動端はυ=∞の場合に比べて高く,停止端は低い.
(4)ビード線からγ0だけ距る点の温度Tについてはγ
0にて定まる温度T
mr0物(13式)を想定し,m=T/T
mr0を考えると,任意のr
sに対する温度の一般概念が得られる.Fig.5(a)参照.
このm値の時間的変化の最高到達値は薄板の場合にはm=√2/πe=0.484であった.本稿の無限厚板の場合にはm=1/e=0,368である.(16)式.またその発生時刻はt=r=r
20/4k,ただしυ=∞の場合.υ≠∞ではt=(1~2)τ.Fig.9
(5)ビード線上の点(r
0=0)については.r
0の代りにビード端Eからの距離x
0を用いたT
mx0によってm=T/T
mx0を考える.ビード長lが有限の場合にはγ0の代りに1を用いたT
mlをとってm=T/T
mlを考えると便利である.
(6)実際の溶接ではビード長lはl=∞ではなくしたがっていわゆる準定常は厳密には実現しないわけであるが,ビード長lが有限の場合lにて定まるτlをとって時間tをt/τlのスケールで測ると,υ=∞の場合ビード端,ビード中央の温度T
e,T'
0の計算はIV節に示したように簡明である.l=∞の場合の温度T
E,T
Oとの比較も可能である.Fi9.13,Table3.これらのデータは有限速度の場合のそれではないが,有限ビード長の場合の温度の推定に有用といえよう.
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