日本野生動物医学会誌
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10 巻 , 2 号
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総説
  • 安本 守宏
    2005 年 10 巻 2 号 p. 65-78
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/11/03
    ジャーナル フリー
    野生生物の減少や絶滅が急激に進行している現在, 野生生物の保護管理は, ますます重要な課題となりつつある。絶滅が危惧されている野生生物の減少の原因は, 主にこれらの生息地の悪化や減少であるとされている。そのため, 生息地の維持確保は, 野生生物の減少や絶滅をくい止める上で大きな効果が得られると期待できる。さらに, 野生生物が生息可能な自然環境を復元させていくならば, より大きな効果を得るだろう。一方, 地球温暖化問題は, 陸域生態系と深い繋がりがある。1990年代には, 人間活動により, 炭素換算で年間平均6.3Gt Cの二酸化炭素が大気中へ放出された。そのうち3.2Gt Cが大気へ残り, 1.7Gt Cが海洋へ吸収され, 残りの1.4Gt Cは陸域生態系へ吸収された。このように, 陸域生態系は炭素の吸収源として大きな役割を担っているので, この吸収能力は「気候変動に関する政府間パネル」において地球温暖化防止対策として有効視されている。このような陸域生態系を野生生物が生息可能な土地として復元させるなら, 双方の問題を早期解決へと導くであろう。
原著
  • 伊藤 英之, 遠藤 千尋, 山地 明子, 阿部 素子, 村瀬 哲磨, 淺野 玄, 坪田 敏男
    2005 年 10 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/11/03
    ジャーナル フリー
    タカ目の多くの種は他の多くの鳥類と同様に外部形態から性判別をすることが困難である。この問題は, タカ目に関する生態学の研究を妨げ, 保存のための計画を作製することを困難にする。そのため, タカ目における性判別方法の開発が望まれていた。我々は, CHD1WとCHD1Zの遺伝子間のイントロンの長さの違いを利用する方法を用いて, 日本に生息する8種類のタカ目において, 性判別を試みた。今回用いた方法は, これまでに開発された他の性判別方法よりも容易で迅速に行うことができる。また, 今回調査したすべての種において性判別が可能であった。さらに, わずかなサンプルから抽出したDNAからでも性判別が可能であり, この方法が野生個体/集団の研究に適用することが可能であることが示唆された。結論として, この研究において用いた方法は, タカ目の性判別に非常に有用であり, 希少なタカ目の将来の保全に大きな価値があると考えられた。
  • 城ヶ原 貴通, 中村 正治, 盛根 信也, 石橋 治, 小倉 剛, 川島 由次, 織田 銑一
    2005 年 10 巻 2 号 p. 85-90
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/11/03
    ジャーナル フリー
    沖縄島に生息するオキナワハツカネズミ(Mus caroli)ならびにヨナグニハツカネズミ(M. musculus yonakunii)における, Leptospira抗体の保有調査ならびにLeptospiraの分離調査を実施した。Leptospira抗体の保有率は, オキナワハツカネズミでは20.8%(n=77), ヨナグニハツカネズミでは33.3%(n=6)であった。また、抗体の保有が認められた血清型は, autumnalis, canicola, grippotyphosa, rachmati, castellonisおよびjavanicaであった。Leptospiraの分離調査では, 1.8%(n=112)のオキナワハツカネズミからLeptospiraが分離されたが, ヨナグニハツカネズミからLeptospiraは分離されなかった。分離したLeptospiraは, MATおよびflaB遺伝子配列に基づく同定の結果, 全て血清型castellonisと同定された。血清型castellonisは, 沖縄島では, オキナワハツカネズミとヒトのみからの分離例があるが, その他の動物からの分離例は無い。沖縄島において, オキナワハツカネズミが本血清型のヒトへの主要な感染源となっている可能性が示唆された。
  • 楠 比呂志, 西角 知也, 中川 大輔, 瀧田 豊治, 栗田 大資, 上道 幸史, 上田 かおる, 大江 智子, 奥田 和男, 楠田 哲士, ...
    2005 年 10 巻 2 号 p. 91-94
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/11/03
    ジャーナル フリー
    1.5歳から5.5歳までの4年間の加齢に伴うバーラル(Pseudois nayaur)の精液性状の変化を調べた。精液は, 2001年12月から2005年2月までの間の4回の繁殖期に, 2頭の雄から人工腟法で採取した。28回中25回で精液が採取できた。得られた精液の性状は, 1.5歳時ではかなり劣悪であったが(精液量 : 0.24ml, 精液pH : 8.3, 精子濃度 : 13.8百万/ml, 精子運動指数 : 0.0, 生存精子率 : 0.0%および形態正常精子率 : 54.1%), 加齢に伴って向上し, 4.5歳以上で概ね安定し, その時点での性状は(精液量 : >1ml, 精液pH : 6.8, 精子濃度 : 3500〜4000百万/ml, 精子運動指数 : <80, 生存精子率 : >70%および形態正常精子率 : >95%), 家畜のヤギやヒツジに匹敵する程良質であった。
研究短報
症例報告
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