日本野生動物医学会誌
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11 巻 , 2 号
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原著
  • 深田 恒夫, 後藤 大介, 田代 淳, 柴田 早苗, 竹田 正人, 橋川 央, 笹井 和美
    2006 年 11 巻 2 号 p. 61-65
    発行日: 2006年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    野生のホンドタヌキおよびツキノワグマから分離したブドウ球菌の薬剤感受性および分子疫学的調査することによって環境評価を行った。2003年3月から2004年9月までに集められたホンドタヌキ26頭(野生21頭,動物園5頭)およびツキノワグマ35頭(野生21頭,クマ牧場10頭,動物園4頭)からブドウ球菌を分離した。材料の採取部位は,剖検を行った個体では口腔,鼻腔,耳垢および肛門とし,それ以外では糞便および耳垢,あるいは糞便のみとした。1)分離したブドウ球菌は,ホンドタヌキからはS. delphiniとS. xylosusが,ツキノワグマからはS. shleiferiが有意に多く分離された(p<0.05)。2)ブドウ球菌174株について7種類の抗菌剤で耐性を調べ,両動物ともに動物園動物は野生動物よりも有意に耐性菌保有率が高かった(p<0.05)。これらの野生動物間では,薬剤耐性保有率に有意差はなかった。3)ツキノワグマおよびホンドタヌキから多く分離されたS. aureus 16菌株およびS. sciuri 21菌株について,制限酵素SmaIを用いてパルスフィールド電気泳動法によりDNAバンドパターンを調べた結果,動物種による特有のバンドパターンは検出されなかった。近い地域に生息していたツキノワグマ2頭から同じバンドパターンを示したS. aureusが分離された。これらは同じ薬剤耐性パターンを示した。したがって,薬剤耐性ブドウ球菌はヒトの社会から野生動物へ伝播していることと野生動物間で伝播した可能性も示唆された。
  • 片野 理恵, 楠田 哲士, 楠比 呂志, 村田 浩一, 木村 順平
    2006 年 11 巻 2 号 p. 67-71
    発行日: 2006年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    国内の飼育下アミメキリン(Giraffa camelopardalis reticulata)およびマサイキリン(G.c. tippelskirchi)の死亡個体から得られた精巣および精巣上体を用いて生理学的な性成熟年齢を推定した。本邦の動物園で飼育されていた雄10個体を対象とし,精巣組織切片のHE染色およびPAS-Hematoxylin染色標本を作製して組織学的観察を行った。その結果,5.9歳以上のすべての個体において精巣および精巣上体内に精子が確認された。また,テストステロン産生の動態を知るためにコレステロール側鎖切断酵素(P450scc)の局在を免疫組織化学的に検索した。その結果,2.5歳と5.9歳以上の個体で局在が認められた。国内血統登録記録を用いて1907〜2000年の出産年月日をもとに,雄の初回交尾時年齢を推定した結果,3〜5歳が最も多く,組織学的解析結果と類似していた。国内の各動物園における1施設当たりの雄個体数は少なく,上位個体に交尾阻害される野生環境と比較し若雄でも繁殖可能であることから,飼育下では繁殖開始年齢が低下すると推察された。
  • 中村 光孝, 松井 直哉, 高島 久幸, 林 登, 酒井 洋樹, 柳井 徳磨, 柵木 利昭
    2006 年 11 巻 2 号 p. 73-77
    発行日: 2006年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    1952年から2004年において剖検された,115例の鵜飼に従事していた飼育下ウミウ(Phalacrocorax capillatus)のうち3例に痛風を認めた.剖検では,全例ともに内臓漿膜,特に心外膜および肝臓被膜は灰白色チョーク様尿酸塩の沈着により肥厚し,腎実質内にも尿酸塩沈着が認められた.病理組織学的には,肥厚した漿膜と尿管内に無構造好酸性尿酸塩が沈着,尿管上皮の角化重層扁平上皮化生が全例に認められた.また,尿管は偽好酸球浸潤を伴う尿酸塩および角化物の集積によって拡張していた.重度な2例では腎臓内に痛風結節の形成が見られた.肝臓,肺,腎臓および脾臓の血管内に尿酸塩の析出による尿酸塩栓子および血栓が認められた.以上より,ウミウの痛風において,尿酸塩栓子として見られる高尿酸塩血症の原因は尿管の角化扁平上皮化生による尿管の閉塞であり,加えて,腎尿酸塩沈着が高尿酸塩血症を促進し,全身的な高度の尿酸塩沈着をもたらしたと考えられた.
技術短報
研究短報
症例報告
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