日本野生動物医学会誌
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17 巻 , 4 号
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特集論文
  • 岩尾 一
    2012 年 17 巻 4 号 p. 139-144
    発行日: 2012/12/21
    公開日: 2018/07/26
    ジャーナル フリー

     全ての生物学的事象には至近要因と究極要因が存在する。伝統的に獣医学は病気の至近要因に集中してきた。進化医学は,病気の究極要因を問う学問分野である。本稿では,進化医学の概念と,進化医学の主流テーマから,感染症と宿主防御,進化適応環境(EEA)とのミスマッチの2つを紹介する。とりわけ飼育下の野生動物を対象にした臨床医学では,EEAとの不適合は,飼育下個体で好発する種特有の病気の病態理解のうえで重要である。胃炎症候群は,飼育下の鯨類では高率にみられる病気の1つである。 病因としては様々な要因があげられているが,はっきりとした病因は不明である。野生下の鯨類は,昼夜関係なく摂餌を行っているが,飼育下では人の活動時間の日中に集中して給餌を受ける。結果,野生下では生じにくい, 極端に長い空胃時間が日常的に繰り返され,その結果,胃炎が生じるという仮説を提唱したい。筆者の自験例では,この仮説を支持する結果を部分的に得ている。進化医学的な視点は,野生動物の臨床において,有益な洞察を与えるものと思われるが,安易な適用には批判的になり,常に対立仮説を意識すべきである。

原著論文
研究短報
  • 巖城 隆, 鶴見 みや古, 小林 さやか, 岩見 恭子
    原稿種別: 研究短報「和文」
    専門分野: 寄生虫学
    2012 年 17 巻 4 号 p. 153-155
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/16
    ジャーナル フリー
    熊本県内で保護されたハヤブサ2羽の筋肉から被嚢した線虫が検出され,形態学的観察から有棘顎口虫 Gnathostoma spinigerum および日本顎口虫 G. nipponicum の第3期後期幼虫と考えられた。ハヤブサから顎口虫幼虫が発見されたのは今回が初めてとみられ,幼虫に感染した鳥類を捕食して感染したものと考えられた。
  • 岡野 司, 大沼 学, 長嶺 隆, 中谷 裕美子
    原稿種別: 研究短報「和文」
    専門分野: 寄生虫学
    2012 年 17 巻 4 号 p. 157-160
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/16
    ジャーナル フリー
    交通事故で死亡した2頭の野生ケナガネズミ(Diplothrix legata)を沖縄県国頭村で2011年9月に得た。剖検時に,肉眼的なサルコシストが舌,咬筋,横隔膜および外腹斜筋などの骨格筋で多数認められた。寄生のある横紋筋の組織学的観察では,特に炎症反応はみられなかった。サルコシストから抽出したDNAのシークエンスにより,1,797塩基の18S rRNA(GenBank accession number AB691780)および1,441塩基の28S rRNA(GenBank accession number AB691781)の肉胞子虫の遺伝子を得た。これは南西諸島固有の希少種であるケナガネズミにおける肉胞子虫感染の初記録である。
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