日本野生動物医学会誌
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17 巻 , 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
特集論文
  • Chatchote THITARAM
    2012 年 17 巻 3 号 p. 91-96
    発行日: 2012/09/28
    公開日: 2018/07/26
    ジャーナル フリー

     アジアゾウの個体数は野生下,飼育下ともに急速に減少している。野生捕獲個体の導入が行われないためにも,飼育下での繁殖が極めて重要である。出産率の低さと死亡率の高さが飼育下個体数の急速な減少を引き起こしている。国や動物園で実施されているアジアゾウの飼育下計画繁殖の成績も高くなく,野生下でも繁殖している個体は多くはない。観光業や材木業のゾウキャンプ,サーカス,動物園などその他ゾウ施設での飼育個体数の維持に,野生個体の導入や不法捕獲があってはならない。今回は,各国や欧米の動物園のゾウ施設における繁殖管理について,歴史,制限事項,成功例,そして改善方法について述べる。絶滅の恐れのあるゾウを守るための協力が国や大陸を越えて始まっている。

  • Thomas B HILDEBRANDT, Imke LUEDERS, Robert HERMES, Frank GOERITZ, Jose ...
    2012 年 17 巻 3 号 p. 97-109
    発行日: 2012/09/28
    公開日: 2018/07/26
    ジャーナル フリー

     近年,ゾウは,飼育下での低い繁殖成功率や,野生からの新たな個体導入の停止により生息数が減少している。一方,ホルモン測定や超音波検査の発展,アフリカでの生息数調整などから得られた研究成果は,現在のゾウの生殖周期に関する知識の発展に貢献してきた。ゾウの繁殖特性は他の哺乳類と明らかに異なっており,泌尿生殖器の解剖学的構造,発情周期の長さや構成,副黄体の形成,生殖ホルモンの分泌パターンなどが特徴的である。雌ゾウの発情周期は12~18週であり,現在までに知られている周年繁殖動物の中で最長である。プロゲステロンが排卵後1~3日で上昇して黄体期が始まり,6~12週続く。その後4~6週間ある卵胞期の終わりには,正確に時間差のある2回のLHサージが起こる。一般的に,1回目のLHサージは排卵を誘起せず,その19~21日後の2回目のLHサージで排卵が誘起され,通常,1個の卵胞が排卵する。しかし,排卵部位での黄体形成に加えて,卵巣には複数の黄体が観察される。他の多くの動物種と違い,黄体組織から分泌される主なプロゲスタジェンはプロゲステロンではなく,プロゲステロンから5α減少した代謝物である。今回,アジアゾウ,アフリカゾウで現在分かっているユニークな発情周期について,発情行動,生殖関連ホルモン,生殖器官の超音波と形態学的構造,病理学的面を,ホルモン処置の可能性も含めて説明した。

  • 長塚 信幸
    2012 年 17 巻 3 号 p. 111-112
    発行日: 2012/09/28
    公開日: 2018/07/26
    ジャーナル フリー

     アシカの悪性中皮腫の診療で学んだことなど,これまで水族館で携わった診療,エピソードを紹介する。十分な記録の中から研究成果を引き出し,その道筋をも活かした展示を構築していきたい。

  • 伊東 隆臣
    2012 年 17 巻 3 号 p. 113-118
    発行日: 2012/09/28
    公開日: 2018/07/26
    ジャーナル フリー

     当館では,持続的な水族館運営を十分に勘案しつつ,生物多様性の保全に貢献するための研究活動を推進している。水族館獣医師の職務として保全に貢献するために,生物学のブラックボックスである水棲生物における臨床知見の蓄積,臨床技術の開発に関する研究を邁進している。

原著論文
  • 巖城 隆, 加藤 千晴, 黒瀬 奈緒子
    原稿種別: 原著論文「和文」
    専門分野: 寄生虫学
    2012 年 17 巻 3 号 p. 119-126
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/30
    ジャーナル フリー
    神奈川県内で1997~2008年に交通事故や傷病などのために保護された後に死亡した野生鳥類27種39羽について寄生蠕虫類の検査を行い,うち18種25羽から蠕虫類が検出された。このうち,吸虫:Apharyngostrigea cornu(アオサギ・チュウサギの小腸),Cardiocephaloides longicollis(セグロカモメの小腸),Ophiosoma patagiatum(チュウサギの小腸),Uroproctepisthmium sp.(アオサギの大腸・総排泄腔),条虫:Paruterina candelabraria(オオコノハズクの小腸),線虫:Desmidocercella numidica(アオサギの気嚢?)については日本では初報告,吸虫:Brachylecithum sp.(ツグミ・トラツグミの胆嚢),Lyperosomum turdia(アカハラの胆嚢),Opisthorchis sp.(アオサギの胆管),Stictodora lari(セグロカモメの小腸),線虫:Desportesius spinulatus(チュウサギの筋胃),Stegophorus stercorarii(ハシボソミズナギドリの筋胃)については,日本での新宿主報告と考えられた。
  • 遠藤 秀紀, 森 健人, 細島 美里, MEKWICHAI Wina, 小川 博, 恒川 直樹, 山崎 剛史, 林 良博, 秋篠宮 文仁
    原稿種別: 原著論文「英文」
    専門分野: 解剖学
    2012 年 17 巻 3 号 p. 131-138
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/30
    ジャーナル フリー
    軍鶏,タイゲーム(カイ・チョン),ソニア,ファヨウミ,ロードアイランドレッドに関して筋肉重量を比較し,闘鶏用を含む直立型ニワトリ品種における筋肉系の形態学的特徴と機能的意義を検討した。軍鶏とタイゲームに関して,闘鶏用品種の筋肉系の機能形態学的特徴を以下のようにまとめることができた。1)ソニア,ファヨウミ,ロードアイランドレッドよりも軍鶏やタイゲームにおいて,体重に占める骨格筋の総重量比が大きかった。2)軍鶏とタイゲームにおいて,筋肉重量は後肢に集中し,走行,跳躍,直立姿勢に適応していた。3)闘鶏において柔軟で速い頸部の運動が要求されるが,軍鶏とタイゲームの頸部構造における筋重量比や筋重量指数は他品種に比べて小さかった。4)軍鶏とタイゲームの間では,検討した各筋肉の筋重量比や筋重量指数は類似していた。
症例報告
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