日本野生動物医学会誌
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18 巻 , 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
特集論文
  • 松本 令以
    2013 年 18 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2013/03/29
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー

     動物園は,レクリエーション施設としてだけではなく,社会教育施設として,調査研究機関として,また自然環境や野生生物の保全のための中核施設として社会的に位置づけられており,飼育係,獣医師,教育普及担当者などの動物系技術職員がそれぞれの専門業務を行うとともに,動物学,獣医学,教育学などの分野の様々な研究を自ら,あるいは大学などの研究機関と共同して行っている。横浜市立動物園では,(独)国際協力機構(JICA)の支援を得たウガンダ野生生物教育センターへの技術協力,同じくJICAの支援を得たインドネシア・バリ島へのカンムリシロムクの野生復帰,横浜市内で野生絶滅したミヤコタナゴの飼育下繁殖など,いくつかの野生生物保全活動も行っている。一般市民からは,動物園は単なるレクリエーション施設として捉えられがちであり,飼育係といえば,単に動物の世話をする人というイメージも強い。しかし動物園は,立派な自然科学系博物館であり,そこに働く動物系技術職員は学芸員と同等の業務を行っている。特に公立動物園では,管理運営の大部分が市民の税金を用いて行われているため,市民に対する社会教育,自然環境や野生生物の保全思想の普及啓発などの公益的成果をあげることが期待されている。

  • 大沼 学, 水野 恵理子, 中島 友紀, 田島 淳史
    2013 年 18 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 2013/03/29
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー

     独立行政法人国立環境研究所は2004年より環境省・レッドリスト(日本の絶滅の恐れのある野生生物の種のリスト)に記載されている絶滅危惧野生動物を対象に遺伝資源(皮膚などから培養した体細胞,各種臓器およびDNAなど)の長期凍結保存を開始した。遺伝資源の収集には全国の動物園の協力も得ている。遺伝資源の凍結保存と並行して,国立環境研究所では収集・凍結保存中の遺伝資源を活用した細胞生物学,遺伝学,繁殖学そして感染症に関連する研究を実施している。このなかで今回は,①野生鳥類の生殖細胞を分離する新たな手法,②各種野生鳥類の培養細胞を活用した高病原性鳥インフルエンザウイルスの感受性評価法に関する研究を紹介する。

  • 寺沢 文男
    2013 年 18 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2013/03/29
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー

     水族館の獣医師は,動物の臨床が第一に求められており,現状では十分に研究しているとは言い難い。例えば,我が国の海獣類における薬剤投与量の基準は存在せず,症例報告を執筆することで個々の薬剤投与量を示すことが可能となる。受診行動により,日々蓄積される血液,体温や体重などの臨床データは多く,再活用することで生理的な,あるいは病的な変動を知ることができる。血統台帳は動物の膨大なるデータベースであり,我が国での飼育下の概要を知るうえでは有益である。共同研究においても,水族館の獣医師は研究のための飼育技術を支えるばかりではなく,大学,研究機関とともに研究し,その成果の発表,執筆に大いに加わるべきである。水族館の獣医師が研究することは,海獣類の臨床の基礎を築くことである。

  • 嶌本 樹, 森田 藍, 谷 大輔
    2013 年 18 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2013/03/29
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー

    今回の野生動物入門セミナーは,2011年8月に東京の八王子セミナーハウスにて,学生の活動分野を模索する機会を提供し,野生動物分野の未来を担う学生の人材育成を目的とする宿泊型のセミナーとして開催した。11名の講師による,野生動物学概論,寄生虫,外来種,鯨類,繁殖,感染症,保護管理,野生動物救護,生態学,保全医学などの講義のほか,学生部会OBによる講義やナイトセミナー,懇親会などを通して,参加者は野生動物分野の広さを実感し,また学生同士や講師との活発な交流もみられた。本セミナーは野生動物に興味をもつ学生の良き学びの場となり,また今後の学生の活動や将来の進路を考える機会を提供できた。

原著論文
  • 佐々木 基樹, FUGLEI Eva, WIIG Øystein, 福井 豊, 北村 延夫
    原稿種別: 原著論文「英文」
    専門分野: 解剖学
    2013 年 18 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/19
    ジャーナル フリー
    ホッキョクギツネ (Vulpes lagopus) の咀嚼筋を肉眼的に解剖し,その構造を検索した。咬筋は,表層,中間層,深層の3つの層に区分することができた。表層は2つの部位に分けられ,その外側部は腱膜によって背側に大きく曲がった頬骨弓から起始し,下顎骨の腹縁と角突起の外側に筋質によって終止していた。また。内側部は下顎骨外側の腹側後方に腱膜によって終止していた。さらに,咬筋深層の前方には,下顎骨筋突起の前縁を覆うよく発達した側頭筋が認められた。ホッキョクギツネは,背側に大きく曲がった頬骨弓によって咬筋の筋量を増し,また下顎骨筋突起に終止する側頭筋を大きく発達させることで,頭骨の小型化に伴う咀嚼力の減少を補っている可能性が考えられる。 
研究短報
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