日本野生動物医学会誌
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20 巻 , 4 号
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原著論文
  • 嶌本 樹, 鈴木 圭, 古川 竜司, 濱田 瑞穂, 手塚 雅文, 柳川 久
    2015 年 20 巻 4 号 p. 63-70
    発行日: 2015/12/22
    公開日: 2016/02/15
    ジャーナル フリー
    タイリクモモンガPteromys volansは森林分断化の影響によって,個体数の減少や地域個体群の絶滅が危惧されている。森林分断化は動物に対してストレスやボディコンディションの低下を引き起こし,繁殖生理にも大きく影響するため,分断林に生息するタイリクモモンガにおける保全対策においては生態学的な視点のみではなく生理学的な評価も重要である。そこで,本研究では市販の酵素免疫測定法(EIA)キットを用いて,タイリクモモンガにおいて糞中プロジェステロン(P4)測定が妊娠状態の評価に有効かを検証した。まず,EIAの実験が正常に反応しているのかを評価するために,糞中P4を2倍段階希釈したものと標準曲線の平行性を検定した。その結果,階段希釈した糞中P4と標準曲線の2つの回帰直線の傾きに有意な差はなかったため,平行性が示された。つまり,本種の糞中P4測定は正確に行われたことがわかった。また,繁殖状態の推定が可能かを明らかにするために,P4濃度が高いであろう妊娠期のメスとP4濃度が低いであろう非繁殖期のメス,幼獣および成獣オスの間でP4濃度を一般化線形混合モデルにより比較した。測定結果では,妊娠期のメスのP4濃度は非繁殖期のメスや幼獣メス,成獣オスよりも有意に高かった。したがって,微量な糞からでも繁殖状態の変化に伴うP4の変動を検出でき,市販のEIAキットを用いた糞中P4測定によりタイリクモモンガの妊娠を推定し,生理学的な研究に応用することができるだろう。
症例報告
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