ニホンライチョウ(Lagopus muta japonica)は,主として高山植物を摂食しているが,その食物の多くに草食動物の摂食を忌避させるための化学物質が含まれている。野生のニホンライチョウは、そうした餌植物がおよぼす悪影響を避けるために、餌植物の有害成分を分解すると考えられるが、そうした解毒作用自体は腸内細菌に依存しているものと推察される。本研究では,野生のニホンライチョウの盲腸糞が、飼育下のスバールバルライチョウ(L. m. hyperborea)のものと比較して,はるかに高い効率でフェノール性配糖体ロドデンドリンとロドデンドリン由来のアグリコンであるロデンドロールを分解することが明らかとなった。これにより,腸内細菌が,野生ニホンライチョウの生存に貢献していることが示された。
静岡県伊東市内で外来種として定着しているアムールハリネズミErinaceus amurensisについて外部および内部寄生虫の検索を行った。外部寄生虫はキチマダニHaemaphysalis flava,タカサゴキララマダニAmblyomma testudinarium,キュウセンダニ類Caparinia erinaceiが,また,内部寄生虫は次の線虫類Capillariidae gen. spp.,Monovaria sp.,被嚢幼線虫Porrocaecum sp.が検出された。国内のアムールハリネズミでの寄生虫の記録はこれが初めてである。
寄生線虫の一種,Srivastavanema musasabi (線虫綱,ヘリグモソマム上科) が富山県産ニホンモモンガ (Pteromys momonga) および北海道産エゾモモンガ (P. volans) から得られ,形態学的に記載された。これはこれらの2種のモモンガからの初記載であり,富山県と北海道からの新産地報告となる。