日本野生動物医学会誌
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24 巻 , 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
特集論文
  • 遠藤 秀紀, 佐々木 基樹, 浅川 満彦
    原稿種別: その他
    2019 年 24 巻 2 号 p. 27
    発行日: 2019/07/11
    公開日: 2019/09/15
    ジャーナル フリー
  • 佐々木 基樹
    原稿種別: その他
    2019 年 24 巻 2 号 p. 29-32
    発行日: 2019/07/11
    公開日: 2019/09/15
    ジャーナル フリー

     「研究する動物園」は,2008年の第14回日本野生動物医学会神戸大会で初めて開催され,それ以降毎年の大会において自由集会として開催されてきた。そして2017年の第23回武蔵野大会においてシンポジウムとして開かれた「研究する動物園10」で10回目を迎えることとなった。これまでに動物園・水族館獣医師のみならず,飼育員,大学教員,博物館学芸員,そして大学院生など,計38名の研究者によって発表がなされ,さらに大会後には,講演内容を集会記録として日本野生動物医学会誌に活字として残してきた。第23回大会時の本学会学術・教育委員会の会議において,新たなコーディネーターによって今後も「研究する動物園」を継続していくことが決まり,「研究する動物園11」以降の「研究する動物園」の更なる進化が大いに期待される。

  • 外平 友佳理
    原稿種別: その他
    2019 年 24 巻 2 号 p. 33-39
    発行日: 2019/07/11
    公開日: 2019/09/15
    ジャーナル フリー

    日本の動物園では,未だ研究活動が活発とはいいがたい状況にある。筆者は今回,ひびき動物ワールドのカンガルー類を対象に行った研究により,獣医学の博士号を取得した。カンガルー類において下顎骨に多発する壊死桿菌症に関連した,内部寄生虫検査,ストレス調査およびエンドトキシン調査を行った。動物園で研究することはすなわち社会貢献であり,非常に重要なことである。

  • 村田 浩一
    原稿種別: その他
    2019 年 24 巻 2 号 p. 41-47
    発行日: 2019/07/11
    公開日: 2019/09/15
    ジャーナル フリー

     日本に初めて誕生した動物園は,フランス革命直後の1794年に開園したパリ国立自然史博物館内の植物園附属動物園(Ménagerie, le zoo du Jardin des Plantes)をモデルにしている。幕末にそこを訪れた田中芳男や福澤諭吉は,西欧文化や博物学の奥深さに驚いたことだろう。当時の動物園(メナジェリー)には,ラマルク,サンチレール,そしてキュヴィエなど,現在もなお名を馳せている学者たちが関与していた。動物園の歴史が,博物学や動物学や比較解剖学などの学術研究を基盤としている証左である。しかし,本邦の動物園は,その基盤の重要性を認識していた形跡が明治時代の文書である「博物館ノ儀」に認められるにも関わらず,上野公園に動物園が創設されて以降とくに戦後の発展過程において継承されることなく現在に至っている。国内動物園で学術研究が滞っているのは,研究環境が十分に整っていないことが原因であるのは確かだ。だが,それだけだろうか? 現今の停滞を打開するために日本の動物園関係者が必要とするのは,200年以上に及ぶ動物園における学術研究の歴史を背負い,時代に応じた新たな研究を興し,その成果を世界に向けて発信する覚悟ではないかと思う。動物園が歴史的に大切にしてきた“研究する心”を持って新たな未来を切り開くために闘い続けるべきであろう。

  • 高見 一利
    原稿種別: その他
    2019 年 24 巻 2 号 p. 49-57
    発行日: 2019/07/11
    公開日: 2019/09/15
    ジャーナル フリー

     近年,生物多様性の喪失が深刻化する中で,動物園・水族館における生息域外保全への期待が高まっている。しかし,動物園・水族館の持つ施設,労力,資金といった資源は限られているため,目的や実現可能性等に基づいて優先的に取り組む種を定めるコレクション計画が策定されている。優先種に対しては,飼育下個体群の個体数や遺伝的多様性を適切に維持するための個体群管理計画が策定されており,この計画に沿って生息域外保全が進められている。さらに,最近では,保全計画の推進にあたって,動物福祉の実践も求められるようになってきている。すなわち,肉体的にも精神的にも健康な個体からなる個体群を確立し,遺伝的多様性を保ちつつ長期にわたって存続させることが求められているということである。こういった取り組みの実効性を担保するために,飼育ガイドラインの策定や動物園・水族館に対する認証制度の導入が進められており,動物園・水族館のレベル向上が図られている。保全対象種に関する普及啓発や調査研究も,動物園・水族館が行う保全活動の一環として重視されている。このように,動物園・水族館における保全活動は多様化,複雑化しつつある。生息域内保全の補完的な取り組みという位置づけではあるが,その必要性は確実に増大している。

  • 遠藤 秀紀
    原稿種別: その他
    2019 年 24 巻 2 号 p. 59-63
    発行日: 2019/07/11
    公開日: 2019/09/15
    ジャーナル フリー

     日本の動物園・水族館と生涯教育の歴史は,主体性の欠如によって特徴づけられるといえるだろう。それは,自然科学の担い手,すなわち研究の主体者としての動物園の成立が妨げられたことと相通じる。明治期において,動物園・水族館と生涯教育は,軽視されながらその開闢期を経過し,研究が組織の核に据えられることは無かった。戦後,自由を旨とする法体系が整備されたものの,動機や価値基準に根差す多数の断絶にとり囲まれて,動物園における研究の発展は乏しかった。園館をとり囲む分断状態は,業務と研究の断絶,純粋科学と実践手技開発の断絶,生涯教育行政と学術研究行政の断絶,獣医学と動物学の断絶,還元主義と比較動物学の断絶,文教行政と環境行政の断絶,文教行政と建設行政の断絶などと類型化できるだろう。これらを克服し,学問の主体者,研究の主体者として,動物園が確立されることが希求されている。

原著論文
  • 田中 魁, 炭山 大輔, 金澤 朋子, 佐藤 雪太, 村田 浩一
    原稿種別: その他
    2019 年 24 巻 2 号 p. 65-71
    発行日: 2019/07/11
    公開日: 2019/09/15
    ジャーナル フリー

      近年,血液原虫研究分野では,形態学に加えて分子生物学的手法を用いた種分類や系統解析がなされており,特に国外におけるハト目鳥類(Columbiformes)の血液原虫研究においては,形態学的特徴を基に分類された種数をはるかに超える分子系統の存在が明らかになりつつある。しかし,国内のハト目鳥類における血液原虫の感染状況や分子系統に関する研究は未だ極めて少ない。そこで本研究では,日本国産(関東圏,沖縄,小笠原の3地域)のハト目鳥類における血液原虫の感染実態と分子系統を明らかにすることを目的とした。対象地域のハト目鳥類(4属5種3亜種173個体)における血液原虫感染率は,50.9%(88/173)であった。分子系統解析の結果,少なくとも2属2亜属5種の鳥マラリア原虫(Plasmodium spp. / Haemoproteus spp.)と,4種のLeucocytozoon属原虫が感染している可能性を示した。ハト科のLeucocytozoon属原虫は,これまで形態学的に1種のみが同定され,他の原虫属と比較しても種特異性が高いことが報告されているが,本研究において分子系統的に宿主鳥類の目間を越える原虫の伝播が生じている可能性が示唆された。本研究から得られた感染実態と分子系統解析結果は,血液原虫の分類を見直す必要性を提示し,今後も同様の継続的な監視・調査を行うことが,国内に生息する希少ハト目鳥類の保全に貢献すると考えた。

  • 伊東 政明, MACDONALD Alastair A., LEUS Kristin, BALIK I Wayan, ARIMBAWA I ...
    原稿種別: その他
    2019 年 24 巻 2 号 p. 73-84
    発行日: 2019/07/11
    公開日: 2019/09/15
    ジャーナル フリー

     スラウェシバビルサの営巣行動発現に及ぼす環境刺激の影響を調査した。2006年8月から2010年3月までの1339日間にインドネシアの比較的大規模な屋外飼育施設において記録されたバビルサの造巣及び巣の再利用行動と気象データの関係を分析した結果、その行動は乾季に高頻度に発現され、外気温の低下や風速の上昇の影響を受けることが判明した。また、夕方の体感温度の低下に伴うその行動発現率の増加傾向が認められた。季節を問わず、午前5時から午後5時までの12時間の体感温度の変化量が大きくなるほど、行動発現率の増加傾向もみられた。24時間降水量は営巣行動発現に抑制的であった。バビルサの営巣行動モチベーションは、体感温度を指標として議論でき、バビルサは寝屋に快適な温度環境を見出している可能性が強く示唆された。

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