日本野生動物医学会誌
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最新号
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原著論文
  • 畑 大二郎 , 柴原 崇
    2026 年31 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 2026/03/23
    公開日: 2026/06/06
    ジャーナル フリー
     2010~2023年までの対馬野生生物保護センターにおける救護記録をもとに,救護したツシマヤマネコの放獣率を算出し(84件),さらにカプランマイヤー法により放獣後の生存率を解析した(32件)。救護の内訳としては,本種の生息阻害要因である箱罠捕獲からが全体の44%を占め,次いで肢くくり罠捕獲が12%,交通事故が7%であり,それぞれの放獣率は92%,60%,67%であった。全体の放獣率は79%で,放獣1年後と3年後での生存率はそれぞれ92%と75%であった。また,放獣後の生存期間中央値は4.4年であった。軽症例が多い箱罠捕獲による救護割合が高いことが,高い放獣率や放獣後の生存率に寄与しており,放獣後数年間の高い生存率により,放獣したツシマヤマネコが繁殖機会を得る可能性もある。また,放獣季節(冬季とそれ以外)や収容期間に関する比較では統計的な有意差を認めなかったことから,ツシマヤマネコでは,冬季放獣や収容期間が放獣後の個体の生存に対して負の影響を与えることは少ないと考えられた。
総説
  • 小倉裕平
    2026 年31 巻1 号 p. 9-19
    発行日: 2026/03/23
    公開日: 2026/06/06
    ジャーナル フリー
     麻酔は不要な痛みや苦痛を軽減させるために魚の福祉の観点からも重要な処置であるが,魚類の研究における使用状況に関する情報はほとんどない。そこで,本研究では文献調査を通じて日本の魚類研究における麻酔薬の使用状況を調査し,学術誌の分類と動物福祉に配慮した使用方法との関連を検証することを目的とした。文献調査は2019年から2024年の5年間で魚類に対して麻酔を用いた国内の研究を対象とし,麻酔方法や麻酔後の処置に関する記載を記録した。その結果,最も頻繁に利用されていた麻酔薬はオイゲノールであり,食用の魚に対して法的に承認された唯一の麻酔薬であったことが原因だと考えられる。ただし,英語文献だけで見ると麻酔の導入や覚醒が比較的早い2-フェノキシエタノールが最もよく使用されており,非食用の魚を対象としている文献の割合が比較的高かったことが原因である可能性がある。一方,麻酔後の処置に関しては日本語文献では,疼痛管理が不十分な麻酔方法で解剖などの侵襲性の高い処置を行っている記載が多い傾向があった。これは投稿規定における動物福祉に関する記載頻度との関連が考えられる。本研究により,魚類の研究において研究者が麻酔を使用する主な目的は,魚の福祉に配慮するためではなく,法律や学術誌の投稿規定に準拠するためであることが示唆された。
技術短報
症例報告
資料
  • 戸澤あきつ , 栢木えがお
    2026 年31 巻1 号 p. 35-44
    発行日: 2026/03/23
    公開日: 2026/06/06
    ジャーナル フリー
     愛玩動物看護師が国家資格化されたが,獣医療提供の対象は愛玩動物に限ったことではない。愛玩動物看護師の知識及び技術は他の動物分野でも汎用できる可能性がある。本研究では,飼養目的の異なる動物にたずさわっている愛玩動物看護師の役割と提供される獣医療に関わる業務内容の同異点について調査した。1次診療の動物病院勤務の愛玩動物看護師,水族館勤務の愛玩動物看護師,サル類を中心に飼育している実験動物施設・研究機関勤務の愛玩動物看護師を各1名対象とした。行動観察を3日間行い,観察時に見られなかった業務はインタビューにより確認した。業務内容は,米国獣医師会の動物看護学生のための技術リスト及び愛玩動物看護師カリキュラムを参照して分類した。分類は看護,外科看護,検査業務,獣医師・飼育者とのコミュニケーション等の他に,適正飼養や動物に関する理解の普及といった愛護・適正飼養,動物福祉に関わる項目を含め,11の大項目となった。行動観察の結果,どの愛玩動物看護師も大部分の項目で類似業務を担っていることが明らかとなった。異なる業務内容は,保定方法や入院時対応,動物導入時の検疫といった一部の公衆衛生対策等であった。これらはいずれも扱っている対象動物の違いによるものと考えられた。愛玩動物看護師の知識及び技術を備えている人材は,他の動物分野でも適切な獣医療提供に重要な役割を担うことが示唆された。
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