日本野生動物医学会誌
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6 巻 , 1 号
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技術短報
  • 宮崎 幸司, 山内 貴義, 濱崎 伸一郎, 菊水 健史, 武内 ゆかり, 森 裕司
    2001 年 6 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    ニホンジカの糞からDNAを抽出してマイクロサテライト多型解析を行い,個体識別の可能性を検討した。まず16対のウシの個体識別マーカーよりニホンジカに適用できるプライマーを4対選定した。続いて37個体の糞サンプルを解析したところ,19個体を識別することが可能であり,また母子において共通するバンドが確認された。以上の結果から,ニホンジカ糞中DNAのタイピングによって個体を識別しうる可能性が示唆された。
原著
  • 小倉 剛, 野中 由美, 川島 由次, 坂下 光洋, 仲地 学, 織田 銑一
    2001 年 6 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    沖縄島に移入された雌のジャワマングースについて,雌の繁殖状態と体サイズの関係を検討し,性成熟に達する際の体サイズを確認した。また,妊娠個体と乳汁分泌個体の捕獲結果および生殖器系臓器の大きさの周年推移から,繁殖周期を推定した。その結果,頭胴長が240mm以下の雌の多くは性的に未成熟で,成長が早い個体では,頭胴長が255mmの頃に春機発動が始まり,性成熟には頭胴長が265mmの頃に達するものと推察された。体重を指標にした場合,体重が約230g以下の雌は性的に未成熟で,最も小型の個体では,体重が230g〜240gの頃に春機発動に入り,体重が265gになる頃には性成熟に到達すると考えられた。また,沖縄島の雌の多くは,2月から交尾期に入り,4月から9月までを主な出産期とし,授乳期は11月頃まで続くものと考えられた。妊娠雌の捕獲の推移は一峰性で,ほとんどの雌は年一産と考えられた。また,非繁殖期と考えられる12月から1月にも,少数個体によって繁殖活動が行われている可能性が示唆された。妊娠個体が捕獲された期間をもとに算出した妊娠率は32.3%であった。1腹産子数は2頭まれに3頭と推定された。胎盤痕の数より,同時に4頭あるいは5頭の着床が可能と考えられたが,胎盤痕の痕跡の程度と胎子数が3頭以下であったことより,4頭以上が着床しても全てが出産に至らない確率が高いことが示唆された。
  • 沖野 哲也, 後川 潤, 初鹿 了
    2001 年 6 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    岡山県倉敷市内の家庭でペットとして飼育されていたカイウサギOryctolagus cuniculus var. domesticusの体毛に見られた小型のダニについて,その形態を光学顕微鏡と走査電子顕微鏡によって観察した。このダニは,(1)雌虫が長径0.56mm,最大幅径0.25mm,雄虫が長径0.61mm,最大幅径0.33mmで,背腹の体表にしわ状の紋理が認められる。(2)前体部の背側には背部肥厚板があり,腹側には宿主の体毛をつかむ機能をもったフード様の把握器が存在する。(3)雌虫の背部肥厚板には小毛が認められない。(4)4対の歩脚は正常に分節し,各歩脚の末端に内質盤が認められる。(5)第I脚と第II脚の基節条は,前者がY字形,後者がV字形を呈している。(6)雄虫後体部の尾葉突起は切れ込みが深く,各尾葉の先端に基部が膨らむ長い剛毛が1本存在する。(7)雄虫後体部の背側体表には絨毛様の横縞が認められる。(8)雄虫の肛門の両側に円形の肛吸盤が存在する。(9)虫卵は長径0.21mm,短径0.08mmで乳白色を呈し,宿主の体毛に膠着している等の形態的特徴からウサギズツキダニListrophorus gibbus Pagenstecher, 1861と同定された。本稿は,日本におけるL.gibbusの形態をはじめて示したものである。
研究短報
  • 進藤 順治, 吉田 直幸
    2001 年 6 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    新潟市水族館で飼育されている10羽のオスのフンボルトペンギンの精液量と精子濃度を1年間測定した。フンボルトペンギンの精液は7月から8月中旬の換羽期以外は,高い割合で採取することができた。精液量は一年を通し0.02mlから0.04mlの間で推移していた。平均精液量は0.026±0.009mlであった。精子濃度は10月から2月の間は高い値で推移し,一方換羽期間は著しく低下していた。平均精子濃度は21.9±11.2 10^8/mlであった。今回の結果から,最も繁殖に適した時期は晩秋から早春にかけてであると思われた。
  • 中村 茂, 浅川 満彦
    2001 年 6 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 2001年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    カモ目の寄生線虫相を明らかにする目的で,北海道内の野生から採集されたカワアイサMergus merganser,クロガモMelanitta nigra,マガモAnas platyrhynchos,コガモA. crecca,オシドリAix galericulata,コハクチョウCygnus bewickiiおよびオオハクチョウC. cygnusの消化管を検索した。その結果,Pseudocapillaria mergi(宿主:コガモ,オオハクチョウ),Contracaecum sp.(宿主:カワアイサ),Amidostomum anseris(宿主:マガモ,コハクチョウ,オオハクチョウ),Tetrameres fissispina(宿主:マガモ)およびPhysaloptera sp.(宿主:コガモ)の5種の線虫が検出された。P. mergiA. anserisは日本初記録,T. fissispinaPhysaloptera sp.はそれぞれの宿主種で初めての記載であった。また,道内で広範に分布すること,および宿主域が広いことから,A. anserisはカモ目に普通の寄生虫であることが示唆された。
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