日本野生動物医学会誌
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8 巻 , 2 号
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原著
  • 横山 祐子, 稲葉 智之, 浅川 満彦
    2003 年 8 巻 2 号 p. 83-93
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    サル類の公衆衛生学的研究の一環として,東京都内動物商およびペットショップで死亡したサル類5科15属22種96個体について,寄生蠕虫類の調査を実施した。検査動物の属としてはLemur, Galago, Nycticebus, Perodicticus, Aotus, Saimri, Cebus, Cebuella, Callithrix, Saguinus, Leontidius, Macaca, Cercopithecus, Erythrocebus, および Miopithecusであった。その結果,45個体に何らかの寄生蠕虫類を認めた。特に,調べたリスザル12個体とタラポアン14個体すべてに蠕虫類が認められたが,いずれも愛玩動物として人気が高いので警戒が必要とされた。今回の調査では線虫13属,吸虫1属,鉤頭虫2属,すなわちPhysaloptera, Rictularia, Dipetalonema, Gongylonema, Streptococcus, Enterobius, Lemuricola, Crenosomatidae gen., Primasubulura, Globocephalus, Strongyloides, Molineus, Trichuris, Dicrocoeliidae gen., Prosthenorchis, Nephridiacanthusが検出された。このほか舌虫類の若虫(おそらくProcephalus sp.およびArmillifer sp.)が見つかったが,条虫類は見つからなかった。ほとんどの蠕虫類が日本で初めての報告となった。
  • 椎橋 孝, 島村 亜希子, 出雲 杏奈, 野上 貞雄
    2003 年 8 巻 2 号 p. 95-99
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    野生のニホンジカ(Cervus nippon)の糞便内寄生虫相を神奈川県(A地区), 千葉県内の2か所(BおよびC地区)および埼玉県(D地区)の計4か所で採取したニホンジカの糞便塊各30, 38, 36および30塊を用いて調査した。直接法,ホルマリン・エーテル法および蔗糖遠心浮遊法による糞便検査の結果, コクシジウムのオーシスト, 槍形吸虫卵, 羊鞭虫卵およびその他の線虫卵が検出された。A〜D各地区の検出率はそれぞれ, コクシジウム:27%, 8%, 44%, 40%,槍形吸卵:10%, 0%,0%, 37%, 羊鞭虫卵:7%, 5%, 3%, 0%,その他の線虫卵:60%11%, 14%, 7%であった。検出された感染寄生虫種には地域差が見られ, コクシジウムでは同一県内でも地区が異なると検出率に顕著な差がみられた。今回入獄共通および家畜に感染する寄生虫も検出されたが, 調査を行った地域はいずれもヒトとニホンジカの生活圏が重複する場所であることから, 野生のニホンジカとの共存のためには, このような寄生虫の存在を理解する必要性があると考えられる。
  • 村田 浩一, 篠嵜 康雄, 石崎 真奈, 夜野田 聡子, 寺田 昭子, 得平 真子, 寺川 和秀, 丸山 総一, 木村 順平, 椎橋 孝, ...
    2003 年 8 巻 2 号 p. 101-108
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    移人種タイワンリス(Callosciurus erythraeus)の血液生化学検査におけるドライケミストリー法の有用性を評価するため,従来法(ウエットケミストリー法)による測定値との比較を行い,併せてタイワンリス健常成体の血液生化学参考値を求めた。 GLU, BUN, T-CH0, TG, CRE, TP, T-BIL, IP, AST, ALTの10項目で2法の間に高い相関(r>0.95)が認められた。 ALB, Ca, AMYLの3項目における2法間の相関は他項目に比べるとやや低かった(r<0.87)。原因としては,血液性状,採血方法,測定に用いられた基質の違い等が考えられた。いくつかの測定項目については更なる検討が必要であるが,本法がタイワンリスの血液検査に対して有用であると考えられた。ドライケミストリー法で求められた本種における健常成体の参考値(平均±標準偏差)は. GLU: 128.7 ± 81.48mg/dL,BUN: 20.9 ± 26.64 mg/dL, T-CHO: 221.3 ± 79.18 mg/dL, TG: 68.1 ± 29.57 mg/dL, CRE: 0.4 ± 0.20mg/dL, TP: 5.5 ± 0.6 5 g/dL, ALB: 3.9 ±0.65 R/dL, T-BIL: 1.6 ±0.81 mg/dL ,Ca: 8.4 ± 0.99 mg/dL, IP: 5.2 ± 2.21 mg/dL,AST: 219.1 ± 211.97 U/L, ALT: 59.3 ± 54.60 U/L, AMYL: 935.4 ± 930.77 U/Lであった。
  • 浜 夏樹, 山田 亜紀子, 野田 亜矢子, 村田 浩一, 島田 幸宜, 芦田 雅尚, 石川 康司, 松尾 嘉則, 奥乃 弘一郎
    2003 年 8 巻 2 号 p. 109-113
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    2002年1月11日,神戸市立王子動物園で飼育中の11歳の雌アジアゾウ(Elephas maximus)が死産した。同個体は1999年以降同居している雄との間で繁殖行動を示し,2000年, 2001年には腹部の膨満感や乳頭の腫脹が認められるようになった。そのため妊娠診断を目的に,2000年5月より月1回の割合でラジオイムノアッセイ法(RIA)による血清中のプロゲステロン(P),エストラジオール(E2)およびプロラクチン(PRL)の測定を行った。また1999年9月4日から週1回採血し凍結保存していた血清について,エンザイムイムノアッセイ法(EIA)によりPおよびE2の測定を行った。その結果2000年4月以降EIAによりPの持続的な高値が認められ,妊娠が推測された。またPが上昇する以前にはEIAによるE2には周期性を認めなかった。P値についてはRIAおよびEIAの間に正の相関係数が認められた(r=0.763,p<0.01)。なおRIAによるE2およびPRLは測定限界以下であった。EIAによるPの変動により推定された妊娠期間は640日であった。
  • 田中 聡美, 田村 理恵, 楠田 哲士, 宮原 晃義, 園田 豊, 佐伯 真魚, 松本 力, 村田 浩一, 小牧 弘
    2003 年 8 巻 2 号 p. 115-120
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/04
    ジャーナル フリー
    偶蹄目ウシ科ヤギ亜科に分類されるゴールデンターキン(Budorcas taxicolor bedfordi)とシバヤギ(Capra hircus)の飼料消化性を比較するため,両種に同じ飼料を給与し,(1)飼料の消化管通過速度,(2)一般成分,構造性・非構造性炭水化物の消化率,(3)栄養価と要求量について検討した。ゴールデンターキンは横浜市立よこはま動物園で飼育管理されている雄1頭,シバヤギは日本大学生物資源科学部実験動物研究センターで飼育管理されている雄1頭および雌2頭を供試した。飼料の消化管通過速度の測定には指示物質として酸化クロム(Cr2O3_)を用い,消化率の測定は全糞採取法で行った。消化管通過速度は,ゴールデンターキンおよびシバヤギでほぼ同様で,酸化クロム排泄のピークはいずれも24〜48時間の間であった。消化率は,飼料のすべての成分においてゴールデンターキンの方が高かった。ゴールデンターキンにおける維持エネルギー要求量は,基礎代謝エネルギーの1.71倍であり,シバヤギの2.68倍に比べてエネルギー要求量が低かった。
症例報告
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