灰色文献の代表とされる我が国の行政資料について,その代表的な書誌である国立国会図書館の全国書誌JAPAN/MARCと政府資料等普及調査会「官庁資料要覧」の収録資料を比較してその情報把握の実態を調査した。その結果1985年に刊行された中央省庁の資料について,それぞれの総収録点数1,997点,2,641点のうち重複した資料は,わずかに720点で,総収録資料3,918点のうちの18.4%しか共通して掲載されていなかった。また資料作成部署別の集計より,両者の行政資料の収集ルート・手法に大きな違いがあることも判明した。重複していない資料の多くは単発の非市販資料で占められ,また最も灰色性が強いとされる委託調査資料については,総合研究開発機構「シンクタンク年報」との比較により,先の両書誌にも含まれない資料が存在し,その情報入手の困難性が示された。
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