弊社では様々なデータの入力,編集,校正作業などを請け負ってきた。アルバイトを最大限に活用し,人手のかかる作業を低コストで処理している。その一環として昭和61年度に東京都立大学における図書データの作成作業を行う事となった。それは,40万冊におよぶ蔵書の遡及データを4年に分けて,10万冊ずつ作成するというものであった。初年度は本館の和図書のみ,翌年度は本館の,和洋図書,和洋雑誌,3年目には理学部図書室および各研究室,4年目には工学部図書室および各研究室の和洋の図書・雑誌をそれぞれ入力した。入力作業にあたっては,カード入力(目録カードの情報のみを入力する)や市販のMARCを使用したりするのではなく,現物図書から直接データを作成するという事であった。すでに40万冊分のデータを作成し,また平成元年度からは日本社会事業大学においても,10万冊の現物遡及入力を行っている。本論では,都立大学での作業を中心に,我々が行った作業について述べる事により,現物遡及入力の一つの形態を紹介したいと思う。また,本文中,「図書」という語句には,二つの意味が使い分けられている。一つは広義の,雑誌をも含む「本」という意味であり,もう一つは,狭義の,雑誌と区別するための「単行本」である。
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