背景 : インターネットの出現で速報性, 生産性の高まる論文の世界では, より充実した著者抄録が求められる。日本の著者抄録は記録としての要約の側面が強いので, 読み手を十分に納得させるためのより効果的な抄録を目指す必要がある。目的/方法 : 論文作成の指南書から抄録の定義を整理し, 和雑誌の投稿規定の抄録に関する記述を比較し, 抄録改善を目指す構造化抄録の動向に着目した。結果 : 和雑誌では要旨, 抄録, 要約など言葉の定義が曖昧であり, 9種の類似した表現が見られた。投稿規定には抄録の指示は少なく, 79%が抄録のスタイルと字数制限を記述するのみであった。そこで優れた執筆要項から求められる抄録作成のための要件を抜粋し参照リストを示した。構造化抄録は医学雑誌を中心に増加しつつあり, 臨床系欧文誌の3分の1以上にまで掲載が広がる傾向がわかった。
抄録全体を表示