電子書籍は,携帯電話での読書の伸びなどもあり,普及段階に入ったといえる。また,紙の本からアニメ・映画・ゲーム・キャラクター商品などへ展開するクロスメディアの動きも活発である。クロスメディアの時代においては,複雑な権利関係が発生し,著作権や関連権利の調整に大きな注意が払われなくてはいけない。電子書籍はコピーや通信による頒布が簡単である。したがって,著作権管理システム(DRM)による不正コピー防止策が必要だと言われ,DRMを採用した電子書籍フォーマットも登場している。しかし,実際に流通している電子書籍の大部分では読者の利便を優先し,ゆるやかな著作権管理しか行われていない。今後より使い勝手のよいDRMの登場が期待される。
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