慶應義塾大学附属研究所斯道文庫は,和漢の古典籍を対象とする書誌学を専門とする研究機関である。その前身は,福岡の実業家であった麻生太賀吉氏が設立した財団法人斯道文庫である。終戦間もなく解散した財団の蔵書約7万冊は,研究所の設立を条件に慶應義塾大学に寄贈され,1960年に附属研究所が設立された。それから約半世紀が経過した現在,その蔵書は約15万冊に及んでいる。本稿では,斯道文庫の歴史を概説した上で,財団時代と研究所時代に分けて,それぞれの時代に,寄贈や・寄託等によって所蔵となった,特色あるコレクションについて解説し,和装本ならではの維持管理の難しさや,目録作成の問題点などを説明して,斯道文庫の現状と課題を総括する。
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