フランスには,図書館のみを対象とする体系的な法律は存在しない。ただし,フランスの図書館,中でも公立の図書館に関しては,その設置から位置づけ,サービス対象,あるいは国家による資金援助に至るまで,様々な事柄が法的に細かく規定されている。また,法的拘束力はないものの,1991年には,図書館高等評議会により,『図書館憲章』が採択された。本論では,フランスの公立図書館,すなわち,市町村立図書館と県立貸出図書館およびその前身である貸出中央図書館について,それぞれ各種法規類の中でどのように規定されてきたのかを概観する。その上で,図書館法の制定が試みられた際の動きや,『図書館憲章』についても取り上げる。
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