本稿の目的は,1)経営戦略という概念,2)営利企業を対象とした経営戦略論と図書館経営,3)図書館固有の経営特性という観点から,図書館経営における経営戦略論とは何かについて論じることにある。まず始めに,経営戦略は経営の各領域を統合する概念であることを述べる。次に,1)営利企業を対象とした経営戦略論の中でも,複雑あるいは急進的に組織を変える理論を図書館に適用すると問題が生じやすいこと,また,2)特に図書館はマーケティングの領域が不得意であるが,一方で,3)組織に漸進的な変化を求める経営戦略論は比較的成果を上げていることを説明する。そして最後に,図書館固有の経営特性を経営の各領域に触れつつ経営戦略の観点から論じる。
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