インターネットは,1)それまでのメディアでやりとりされたすべての情報種を受発信でき,受信情報の編集・保存も容易であること,2)ほとんどの地域で国家等の「制度」の制約を受けないこと,3)情報の発信に大きな資本力を必要とせず,対価なしで多くの情報を受容できること,等の点で画期的なメディアである。橋元研究室で継続的に実施している「日本人の情報行動調査」によれば,2012年には,10代においてネット利用時間がテレビ視聴時間を上回った。ネットの普及により情報の受容という側面では,コミュニケーション系情報の受容量が増え,それによって個々人の「主観的現実」の多様化・個性化が進行した。また,関心領域の狭小化などの現象も進みつつある。一方で,若年層の文字情報の受容量はむしろ他の年層より多くなっている。情報の発信という側面では,誰もが自分の作品や意見を発信でき,音楽や文芸の世界でも変化の兆しがある。しかし,CGMはアクセス数やリンク数が評価の基準になることが多く,既存のメディア経由のものと比べ,質的な面では不安定である。
抄録全体を表示