情報の科学と技術
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74 巻, 11 号
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特集:メタバース(仮想世界)の活用
  • 小川 ゆい
    2024 年74 巻11 号 p. 445
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル フリー

    2024年11月号ではメタバースの社会的な活用に着目し,特集を企画しました。メタバースとは「超(メタ)」と「宇宙(ユニバース)」を組み合わせた造語で,ユーザー間でコミュニケーションが可能なインターネット上の仮想空間といわれています。

    通信の高速化,コロナ禍によるオンラインコミュニケーションの浸透,コンピューターの描画性能向上等に伴い,メタバースの普及は進んでおり,世界のメタバース市場は2030年には数百兆円に拡大すると予想されています。EC(電子商取引)業界やゲーム業界などの商業的な活用が先行していますが,近年ではメタバース上のバーチャル展示会,教育・トレーニングなどへの利用が拡大しており,将来的には遠隔地に赴けない人や障害を持つ人にとって価値あるサービスへ発展することが期待できます。そこで社会的活動へのメタバースの活用を考える一助として,図書館,美術館,教育現場での最近のメタバースを用いた取組みに着目しました。

    本特集では,各現場でメタバースを用いてどのようなことを実現したか,何が可能となったのか,どのような課題を抱えているのか,今後の展望をふまえた知見をご紹介します。

    メタバースの特性や可能性については雨宮智浩氏にご執筆いただきました。メタバースとVR技術との関連性,教育への応用について具体的な事例を挙げながら,メタバースの可能性を論じていただいています。図書館におけるメタバースの活用については,大井亜紀氏にご執筆いただきました。「NAGOYAメタバース図書館」構築の契機や読書体験,司書アバターの設置などの運営内容を紹介いただき,利用者の反響や今後メタバースを活用する上での課題をまとめていただいております。美術館におけるメタバースの活用については,佐久田博司氏,林明夫氏にご執筆いただきました。大谷美術館におけるメタバース美術館の構築やSTEAM教育へのメタバースの適用についてご紹介いただいております。

    教育現場におけるメタバースの活用については,不登校児童への支援を題材に宮崎亮氏,外山竜次氏にご執筆いただきました。オンライン支援とメタバース活用支援の違いを述べ,技術的課題,運用上の課題を捉えつつ,新たな学びの機会としてのメタバースの可能性を論じていただいております。教育現場におけるメタバースの学習事例については,氏原慎吾氏,佐藤将大氏にご執筆いただきました。従来のオンライン教育に対するメタバースの優位性や課題を論じ,角川ドワンゴ学園N高等学校・S高等学校(N/S高)の教育カリキュラムや学習活動をご紹介いただいております。

    未来から振り返ると,現在はメタバースが先端技術から身近な技術へと変容する過渡期になるのかもしれません。本特集により,読者の方がメタバースの特性や課題,可能性の理解を深め,メタバースの活用を考える契機になり得ますと幸いです。

    (会誌担当編集委員:小川ゆい(主査),尾城友視,田嶋尚晴,村田祐菜)

  • 雨宮 智浩
    2024 年74 巻11 号 p. 446-451
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル オープンアクセス

    SF小説『スノウ・クラッシュ』で初めて言及されたメタバースは,現代では多様なVR/AR技術により物理空間を拡張する場として発展を遂げつつある。特に,コロナ禍によるリモートワークの普及に伴い,メタバースはオンライン会議システムを超える可能性を持つ社会的活動の場として注目されている。本稿では,メタバースの特徴,VR技術との関連性,教育や訓練への応用について紹介し,アバタの認知特性やメタバースを利用したオンライン講義,VRを活用した疑似体験の具体的な事例を挙げながら,メタバースの未来の可能性について考察する。

  • 大井 亜紀
    2024 年74 巻11 号 p. 452-457
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル オープンアクセス

    名古屋市図書館は,公共図書館によるメタバース図書館の最初の事例として「NAGOYAメタバース図書館」を4か月間の期間限定で設置した。本稿ではNAGOYAメタバース図書館の内容紹介のほか,設置に至る背景やメタバースでのユーザとの交流事例,実世界(リアル)の図書館とメタバース図書館の違いや直面した課題などについて報告する。メタバースで図書館を作るには様々なアプローチが考えられるが,リアルの図書館が持つ資料・サービス・司書の力を活用してメタバース図書館を作る事例として,今後,図書館の活動にメタバースを活用したいと考えている人の参考としてほしい。

  • 佐久田 博司, 林 明夫
    2024 年74 巻11 号 p. 458-464
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル オープンアクセス

    STEAM教育のための仮想環境プラットフォームとしてメタバース上にバーチャル美術館を構築し,効果を検証した。基礎となる学習における推論モデルを再構成し,「予測-設計-発見モデル」によってSTEAM教育の意義を確認した。具体的には,STEAM教育の実践の場として美術鑑賞セミナーおよび俳句に関する鑑賞前後の評価姿勢の変化を大学生と社会人の各群について計測した。その結果,社会人群において変化の傾向を見ることができた。また,学習者が与えられた教材にとどまらず,仮想空間を設計・創造し,学習成果を展示 などにより,統合的・総合的能力の育成に寄与する可能性があることが予測された。ここで,構築されたシステムは,美術分野に限らず幅広い応用の可能性があり,アプリケーションの実例を提案することができた。

  • 宮崎 亮, 外山 竜次
    2024 年74 巻11 号 p. 465-471
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本文の目的は,日本の公教育におけるICT導入の進展を背景に,メタバースが教育の質をどのように向上させるかを探求することにある。特に,不登校児童生徒への支援という観点から,メタバースがどのように彼らに新たな学びの機会を提供し,教育の包括性を高めるかを企業の視点から分析する。また,メタバース導入に伴う技術的課題や運用上の課題にも言及し,次世代の教育モデルの提言を行う。

  • 氏原 慎吾, 佐藤 将大
    2024 年74 巻11 号 p. 472-477
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル オープンアクセス

    メタバースは,従来のオンライン教育を進化させるツールとして,多くの教育機関で導入が進んでいる。本稿では,N高等学校およびS高等学校における「メタバース内での体験的な学び」と「対面に近いコミュニケーションを伴う交流・コミュニティ形成」の活用事例を紹介する。メタバースは現実空間では提供できない学習体験を可能にする一方で,全てのカリキュラムをメタバース内で実施するには現時点で課題が多い。しかし,一部の活動をメタバースで拡張することで,教育効果を高める可能性がある。

連載:続・オープンサイエンスのいま 第5回
原著論文
  • 石川 彰, 中山 英比古
    2024 年74 巻11 号 p. 481-486
    発行日: 2024/11/01
    公開日: 2024/11/01
    ジャーナル オープンアクセス

    世界知的所有権機関WIPOが提供する特許検索サービスPATENTSCOPEを用い,化学物質の検索を行った。出願国を米国(US),日本(JP),中国(CN),韓国(KR)の4か国とし,検索対象を6種の農薬とした。検索モードは,PATENTSCOPEに備わった化学構造検索と化学物質名称に関するテキスト検索(キーワード検索)を検討した。テキスト検索では,検索語の選び方が課題になるが,化学構造検索でヒットした公報から,化学物質名称を抽出できた。テキスト検索と化学構造検索とのヒット数の比較を行ったところ,出願国の母国語のテキスト検索と比べ化学構造検索でヒット数が少ない場合が多かった。化学物質名称の検索用のインデックス化が不十分であると思われる。この点は改良が望まれる。

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