本稿は,様々な学術的文化的データベースにおいて必要不可欠な著者識別子に焦点を当て,昨今の技術的,政策的変革の中で,それらがどのような様態をなして,どのように利用されるようになってきているのかを概観する。著者識別子は,著者名の曖昧性を排除し,学術的,文化的なあらゆる創作活動の結果である著作物を著者に正確に関係づける。著者名寄せとの対比の中で著者識別子を形式的に位置付け,現在流通する様々な著者識別子を品質の観点から整理し紹介する。さらに,グローバルな著者識別子であるORCIDとISNIが学術論文,研究データ,デジタルアーカイブを対象にしたデータベースにおいてどのように応用されるかを示す。