関西医科大学雑誌
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45 巻, 1 号
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  • 池田 一郎
    1993 年 45 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    血小板活性化因子をヒトに吸入させることにより気管支喘息に特徴的な可逆性の気道狭窄と気道過敏性の充進を引き起こすことから,血小板活性化因子が気管支瑞息の病態に関与することが想定されている.そこで,血小板活性化因子の気管支喘息の病因への関与を検討するため気管支喘息を含む種々の呼吸器疾患患者の喀疾中の血小板活性化因子を測定した.患者喀疲中血小板活性化因子量は,気管支喘息(n=22)で0.73±0.32pmol/ml,肺気腫(n=5)で1 .27±0.98pmol/me,.慢性気管支炎(n=4)で17.82±11.42pmol/me,急性肺炎(n=4)で0.15±0.08pmol/ml(平均±標準誤差)であった.つぎに,血小板活性化因子と気管支喘息に特徴的な気道過敏性の充進の関係について検討するため,アストグラフ法を用いて気管支喘息患者と肺気腫患者の気道過敏性の各種指標を測定したが,喀疾中血小板活性化因子量との間には相関を認めなかった(n=19).一方,気管支喘息を含めた呼吸器疾患を持つ患者の喀疲中の血小板活性化因子量は,喀疾中の白血球数との間に相関を認め(P<0.01,r=O.89,n=35),なかでも好中球と強い相関があった(P<0.01,r=O.88,n=28).しかし,好酸球やリンパ球との間には相関がなかった.以上の結果より,血小板活性化因子は気管支喘息に特異的な化学伝達物質と考えるよりも,むしろ生体内では好中球の浸潤する気道の炎症にともなって普遍的に出現するものと考えられた.
  • 西井 聡
    1993 年 45 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    器質的病変を認めない上腹部痛をきたす疾患のうち,胆嚢および胆道の機能異常を原因とする疾患が,胆道ジスキネジーとして知られている.しかし,本症の病態は十分に解明されておらず診断基準も確定していない.われわれは超音波断層装置を用いて,経口卵黄負荷後経時的に胆嚢面積を計測することにより胆道ジスキネジーの診断を試みた.同時に血中コレシストキニン(以下CCK)濃度を測定し,胆道ジスキネジーの病態を検討した.右季肋部痛を主訴に来院した患者のうち器質的病変が否定された患者に検査を実施し,胆嚢断面積の経時変化の異常と,検査中の右季肋部痛の再現の両者を満たすものを胆道ジスキネジーと診断した.さらに収縮異常のパターンにより,低収縮型,高収縮型,二相型に分類し,それぞれの収縮型と血中CCKの変動および腹痛再現パターンとの関連を検討した.血中CCKは,負荷前値では各収縮型と正常対照群とに差を認めなかったが,負荷後90分値では高収縮型,二相型で正常対照群より高く統計学的有意差(P<0.05) が認められた.また腹痛再現パターン別に収縮率を比較したところ負荷後90分値で早.中期持続型の収縮率が後期型に比べて大きく統計学的有意差(P<0.05)が認められた.
  • 樋口 拓, 仙崎 英人, 中尾 家蔵, 佐々木 正道, 森井 外吉
    1993 年 45 巻 1 号 p. 16-26
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    成熟メスSprague-Dawleyラットに,0.5mg/kg体重のphalloidinを腹腔内へ毎朝1回,1週間連続投与し,これら動物から採取された肝組織を電顕的に観察して,細胆管周囲のマイクロフィラメントがとくに高度に増加している肝細胞細胞質に隣接する同じ細胞胞体内に,雲紫状のオスミウム好性微小構造物が散在性に出現することをみいだした.この微小構造物を“いわゆる酵素消化法”や“タンニン酸処理を含む二重固定法”を利用した電顕細胞化学的技法で解析し,この構造物はりん脂質やコレステロールエステルを多く含んでいることを確認した.次に,上述したようなファロイジン投与を3回のみ試みたラットに,DL-ethionine投与を併用して,それによる脂肪肝発現過程に軽度のマイクロフィラメント増加は強い修飾をほとんどもたらさないことも認めた.以上,肝細胞からの脂質の分泌に,静脈洞へのものと細胆管へのものとがあるが,ファロイジン投与は後者を強く障害し,肝細胞内にリン脂質やコレステロールエステルの停滞,雲紮状沈着を招来することを記述した.
  • 神崎 光也
    1993 年 45 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    ヒトおよびウサギの血小板内のセロトニン(5-HT)の局在を知るためにモノクローナル抗5-HT抗体を用いて電子顕微鏡的免疫組織学的実験を行った.血小板膜の免疫学的特異性,すなわち抗体の非特異的吸着および非通過性は,glutaraldehyde固定血小板をtryp.sinで酵素処理することにより解決した.抗5-HT抗体による免疫反応は血小板内の濃染穎粒のみでなく,多くのα穎粒にも認められ,その反応態度から,濃染穎粒は一部の縦穎粒から連続的に進展してゆく可能性が示唆された.
  • 清水 千賀子
    1993 年 45 巻 1 号 p. 33-48
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究においては,ウサギの扁桃核の電気刺激による子宮運動の変化を,中枢電気活動の変化との関連をもとに検討した.子宮運動の記録にはバルーン法を用い,圧トランデューサーを介して子宮内圧曲線を記録し,定量的に分析した.また大脳皮質脳波および海馬脳波も同時に記録した.扁桃核は系統発生学的に皮質内側核群(AME,AC,ACE)と基底外側核群(ALA,ALP,ABL,ABM,AB),前扁桃野(AA)に大別されるが,これらの部位の高頻度電気刺激による子宮運動の変化は,皮質内側核群では促進,基底外側核群では抑制と相反する成績が得られた.また,この成績は副腎摘出および下垂体柄破壊によって影響されることなく,体液性因子を介さない作用であることが証明された.さらに,薬物投与実験および脊髄切断実験の結果から,皮質内側核群の刺激による効果は副交感神経のコリン作動性神経節後線維を介して子宮に作用すること,基底外側核群刺激による効果は交感神経系のβアドレナリン受容体を介して作用することが示唆された、
  • 坂根 洋史
    1993 年 45 巻 1 号 p. 49-58
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    Unfractionate heparin(ヘパリン)単独で多血小板血漿(platelet rich plasma,PRP)の透光性の増加を認める事があるが,この現象の機序については免疫の関与の有無により大きくふたつに分類されている.このうち,非免疫学的機序に因るものにおいて,ヘパリンが血小板機能に及ぼす直接的な影響について検討した.9例中,5例においてヘパリン単独でPRPの透光性の増加を認め,このうち1例について実験を行った.血小板凝集計で観察した凝集曲線は,PRPにヘパリン10units/mlを添加すると,ゆるやかな立ち上がりで約7分後には最大凝集率8.0%に達した。この際に血小板数の減少がみられたが,肉眼的に明らかな凝集塊は観察されなかった.この反応は細胞外液中のカルシウムイオンをキレートした場合と,血小板膜糖蛋白Rb/Ma複合体を認識するモノクローナル抗体であるNNKY1-32による前処理によって抑制された.洗浄血小板浮遊液においてはヘパリンによる透光性の増加はみられなかったが,CaCl2,fibrinogen(Fbg)の添加によりPRPと同様の透光性の増加が観察された.また血小板膜表面結合Fbgはヘパリンによって増加した.しかしα穎粒及び濃染穎粒からの放出,inositol1,4,5trisphosphate産生,細胞内カルシウムイオン濃度の変化は認めず,血小板活性化は伴っていないと思われた.以上の成績より,ヘパリンは血小板膜に結合した際,血小板内活性化機構を作動させずに血小板膜上のFbg結合部位の構造変化をおこし,Fbgが血小板間の架橋をしていると推察された.
  • 吉澤 正尹
    1993 年 45 巻 1 号 p. 59-71
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    これまで研究対象とされてきた動作前の放電休止や,急速負荷解放による放電休止とは異なり,随意動作の途中でみとめられることが特徴的な,テニスストローク中の主働筋での放電休止現象の神経生理学的機構について検討した.開眼・閉眼でのストロークあるいは素振りという条件間には放電休止出現の差異がみとめられず,視覚情報やボールの存在によってコントロールされているものではないことが推測された.内転動作中の最大角速度が増すにつれて早期に放電休止がみとめられた.主働筋の放電休止に対応して拮抗筋に放電がみとめられることは少なく,内転筋にみられる放電休止は拮抗筋抑制によるものであるとは考えられなかった。水平位の上肢内転動作中に反対側の肩をpassiveに前方に移動させ内転筋を短縮させると,内転筋の放電に減少がみられ,後方に移動させ内転筋を伸長させると,明瞭な放電休止がみとめられた.以上の成績より,テニスストローク中の筋活動電位の休止は上肢の内転角速度上昇に伴い,筋にかかる張力が増大し,Golgi腱受容器-Ib群線維を介した抑制レベルがγ線維-筋紡錘-Ia群線維を介した興奮レベルを上回った場合に現れるもの,すなわち,Ib抑制の可能性を示唆するものであった。
  • 1993 年 45 巻 1 号 p. 85-87
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 45 巻 1 号 p. 88-93
    発行日: 1993/03/20
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 45 巻 1 号 p. 94-101
    発行日: 1993年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 45 巻 1 号 p. 102-107
    発行日: 1993年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
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