関西医科大学雑誌
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45 巻, 3-4 号
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  • 岩坂 壽二, 唐川 正洋
    1993 年 45 巻 3-4 号 p. 179-187
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    1978年から約13年間に本学CCUに収容された発症後48時間以内の急性心筋梗塞711例と1980年から心.冠動脈カテーテル法を行った症例4588例の経験から虚血性心疾患の位置づけを明らかにするとともに,診断および治療法の変遷と効果を検討し,新設された心臓血管病センターの目指すべき針路を模索した.CCUへの収容症例数,心.冠動脈カテーテル法を行った症例数はいずれも増加の一途を辿り,1992年にはそれぞれ年間122例,734例となった.急性心筋梗塞の死亡率はCCU開設数年間は27%と高かったが最近では10%へと減少した.この要因として,血管拡張剤による減負荷療法,新たな強心剤の開発,大動脈バルーンパンピング(IABP)に代表される補助循環法,呼吸管理の進歩に加えて,最も貢献した治療法として経皮的冠動脈形成術(PTCA)の導入が挙げられる.今後,経皮的心肺補助装置(PCPS)や冠動脈内ステント術の導入,冠動脈内エコーによる心筋梗塞発症機転の解明からの治療手段の選択などにより一層の死亡率低下が期待できる.つぎに,性差を検討すると高齢女性の予後は男性に比較して不良であり,エストロゲン補充療法の試行も必要と考える.また,積極的な社会復帰を目指した早期リハビリテーションを前提とする現在行っている運動療法の充実も肝要である.そして,効率良い充実した院内救急体制作りと地域医療機関との連携の充実を計ることが重要である.
  • 唐川 正洋
    1993 年 45 巻 3-4 号 p. 188-195
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    左主幹部を責任病変とする急性心筋梗塞は非常に重篤であり,早期の診断と適切な処置が必要である.それゆえ,心電図より冠状動脈の狭窄,閉塞の程度を推測することは大切である.緊急冠状動脈造影を行った302例のうち,左主幹部病変を含む左前下行枝近位部で閉塞が認められた89例の初回急性前壁心筋梗塞の心電図について検討した.その結果,3枝病変例,左主幹部病変例では1,2枝病変例に比し心筋梗塞急性期にみられる典型的な前胸部誘導のST上昇を認める頻度は約50%と低く,むしろST低下を認めた例が30%存在した。また広範な心内膜虚血時に見られると報告されているaVR誘導のST上昇は多枝に病変があるほど頻度が高く,特に左主幹部病変例では92%の例に認められた.以上の所見より急性心筋梗塞時に見られたaVR誘導のST上昇は重症冠状動脈疾患,とりわけ左主幹部病変の診断に有用であると考えられた.
  • 川村 義己
    1993 年 45 巻 3-4 号 p. 196-203
    発行日: 1993/12/20
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    ミクロモノスポラ株の代表株8株の胞子表面構造を電子顕微鏡により検討した結果,平滑(smooth type),疵状(warty type),星芒状(blunt spiny type)の3種類の表面構造が観察された.これらの特徴的な3タイプの表面構造は,一部の例外を除き培地の種類による影響は少なく,21-28日以上の培養後には安定した.光学顕微鏡下では殆ど形態的に区別のつかないミクロモノスポラ株では電子顕微鏡下での胞子表面構造は分類上の一つの基準となり得るものと考えられる.
    次に,日本とウガンダで採集された土壌から分離されたミクロモノスポラ株278株につき表面構造を観察した.その結果,3地域からの分離株で平滑型と疵状の出現頻度はほぼ同程度で,高く,この両タイプで70-80%を占めた.これに反し,星芒状の出現頻度は低く,3-5%を占めるに過ぎなかった.典型的な3タイプ以外に,平滑型と疵状の中間型,疵状と星芒状の中間型の表面構造を示す株も観察され,全体の約10%を占めた.
    胞子表面構造が平滑型,疵状,星芒状の株各2株ずつ,計6株のミクロモノスポラ株についてマウスに対する病原性を尾静脈接種により調べた結果,感染マウスの各臓器から菌は分離されたが経時的に菌数は減少する傾向があり,肉眼的には各臓器に変化はなく,死亡例もなかった.また,各臓器の組織切片の顕微鏡観察でも極めて軽微な炎症像が観察された例はあったが,著変は認められないことからミクロモノスポラ株にはマウスに対して病原性はないものと判断された
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