近年,歯科治療において歯科インプラント治療が確立されたものとして行われているが合併するトラブルの中に上顎洞へのインプラン卜体の迷入の報告も散見される.今回,歯科医院にて歯科インプラント体のケア中にインプラント体の上顎洞内迷入をきたし,その摘出を経験したので報告する.症例は67歳女性歯科処置中に見失つたインプラントを他院歯科にて局麻下に摘出手術が試みられたが所在不明で摘出できなかった.
その後当科へ紹介されX-PとCTにて右上顎洞内臼歯部相当部に洞粘膜に半ば埋入したインプラント体を認めた.全身麻酔下に口腔内より右上顎洞前壁を開窓し直視下にインプラント体を摘出した.その際に,右上顎洞内に副鼻腔炎を生じており粘膜肥厚を認めた.術後感染等生じることなく術後経過は良好である.
上顎洞内に迷入したインプラント体に対し,本例のような洞粘膜にインプラント体が埋入した場合には内視鏡による摘出より,口腔内より上顎洞前壁からの直視下アプローチがより安全で確実な摘出法と考えられた.
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