関西医科大学雑誌
Online ISSN : 2185-3851
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62 巻
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 三城 弥範, 高橋 毅, 豊田 昌夫, 仙﨑 英人, 螺良 愛郎
    2010 年 62 巻 p. 1-5
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/11/30
    ジャーナル フリー
    症例は55歳の男性.糖尿病性腎症により透析施行中.透析後に腹痛を自覚し,軽快をみないため当院に救急搬送された.理学所見に乏しいため保存的治療を行ったが,腹痛の持続と炎症反応の増悪をみたため入院24時間後に緊急開腹術を施行した.上腸間膜動脈に閉塞はなく,小腸から結腸に及ぶ広範囲の分節状壊死を認めたことより非閉塞性腸間膜虚血症(Non-occlusive mesenteric ischemia;以下,NOMIと略記)と診断し,壊死腸管をすべて切除した上で一期的吻合を行い,術中より0.01 μg/kg/min量のProstaglandin E1(以下,PGE1と略記)の持続静脈内投与を開始した.しかし術後2日目にドレーンから腸液を混じた排液を認めたため,縫合不全を疑い再開腹を施行し,小腸の虚血部分を追加切除して空腸瘻,回腸粘液瘻を造設するとともに横行結腸脾彎曲部以下の虚血部の追加切除を行った.術後に十分な輸液とPGE1を0.05 μg/kg/minに増量したところ,温存腸管への虚血の進行は制御でき,経口摂取が可能なまでに全身状態の改善がみられた.NOMIに対してPGE1の持続静脈内投与と,腸管壊死が疑われれば時期を逸しない開腹手術が重要であると考える.なお,患者は敗血症のため術後42日目に死亡したが,基礎疾患に対する配慮も望まれる.
  • 若林 毅俊, 木村 富紀, 山田 久夫
    2010 年 62 巻 p. 7-12
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/17
    ジャーナル フリー
    多分化能を有する前駆細胞から成熟した神経細胞への分化(differentiation)過程には,特定の神経細胞へと運命が決定される過程(commitment)と,神経細胞として成熟する過程(maturation)との明らかに異なるステップが存在するが,これらを明確に区分することは困難である.網膜は発生学的にも中枢神経系に属し,比較的単純な組織構築をしているため中枢神経系の代表として研究に多用されている.また網膜水平細胞はcommitmentとmaturationが明確に分かれており,神経細胞のdifferentiation過程を解明する上で極めて有利な実験系である.著者は神経細胞を特異的に標識できるモノクローナル抗体C38の単離に成功した.網膜を用いて,その抗原分子の機能を調べたところ,C38は神経細胞のcommitmentには関与せずmaturationを促進する働きがあることがわかった.C38は神経細胞特異的に発現するミトコンドリアタンパク質であるが,ミトコンドリアはエネルギー産生やアポトーシス以外にもさまざまな生命現象にかかわっていることが解明されつつある.C38タンパク質の研究を通じて,ミトコンドリアの新たな機能の解明にも貢献できると考えられる.
  • 村田 美樹
    2010 年 62 巻 p. 13-19
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/22
    ジャーナル フリー
    慢性的なB型肝炎ウイルス(HBV)感染は肝発癌の主要な因子である.慢性肝炎の数十年後に約30–40%の症例が肝硬変へと進行し,年率1–5%の確率で肝癌を発症する.しかしB型肝癌は肝炎初期や若年者にも発症することがあリ,HBV自体の発癌関与が示唆される.
    HBx蛋白はB型慢性肝炎の発癌に関わると言われている.HBxは直接DNAに結合はしないがp38やErk,JNK等のMAPK経路を活性化により,肝癌細胞の増殖,浸潤が抑制出来ない状態に陥る.
    TGF-βの働きは肝癌においては複雑である.TGF-βは肝炎初期においては腫瘍増殖に抑制的に働く一方で,発癌過程後期になると癌化に促進的になる.TGF-βはTGF-β I型受容体とJNKを活性化させ,それぞれリン酸化Smad3C(pSmad3C)とリン酸化Smad3L(pSmad3L)の2つのアイソフォームに変換される.
    免疫組織染色,イムノブロッティング,in vitro kinase assayを用いて,90症例のB型慢性肝炎,肝硬変,肝癌組織とHBxトランスジェニックマウスの生検組織を比較した.さらにpSmad3リン酸化と患者の臨床経過との関係も示した.炎症ではなく,HBV-DNA量に依存してJNKを介したSmad3Lのリン酸化は増強した.またHBxトランスジェニックマウス,B型慢性肝炎共に肝癌の進行に伴って肝細胞でのpSmad3Lは増強しpSmad3Cは減弱した.肝癌発症は高pSmad3L群28例中6例,低pSmadL群32例中1例で認めた(log-rank = 0.03).一方,高pSmadC群では発癌が抑制された(log-rank = 0.009).
    本稿ではSmad3のリン酸化に焦点を絞り,HBV関連発癌におけるTGF-βシグナルについて検討する.
  • 2010 年 62 巻 p. 20
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/06/21
    ジャーナル フリー
  • 2010 年 62 巻 p. 21
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/06/21
    ジャーナル フリー
  • 2010 年 62 巻 p. 29
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/06/21
    ジャーナル フリー
  • 2010 年 62 巻 p. 195-235
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/10/28
    ジャーナル フリー
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