矢板などの壁状構造物が打設された斜面の極限平衡法による安定解析法が提案されている。提案法の中心概念は, 壁を境にその上・下流側すべり土塊中には互いに異なるすべり面が現れると考えることである。そして, 通常の安定解析とは違って, 安全率の目標値を設計者が指定し, この安全率を保証するためには壁は如何なる規模と強度のものでなければならないか, といった発想をとる。本文ではビショップ (Bishop) 法に基づいて, 壁が負担すべき力の評価法と臨界すべり面の探索法が展開されている。壁自体の設計法については一切論じていない。
提案法を幾つかの問題に適用した結果, この方法は極めて合理的に解を与えることが判明した。
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