長崎県に位置する鷲尾岳地すべりでは, 対策工として深礎杭工が施工されている。深礎杭には, 施工時に鉄筋ひずみ計が設置され, 深礎杭に生じる応力がモニタリングされてきた。しかしながら, 施工後15年が経過し, 鉄筋ひずみ計が異常値を示すなど, 計測値の信頼性に問題が生じるようになっている。そのため, 鉄筋ひずみ計以外の方法で, 現在深礎杭に生じる応力を推定し, 鉄筋ひずみ計の計測値との比較を行う必要性が生じた。筆者らは, 既設の深礎杭からコンクリートコアを採取し, AE法によるカイザー効果を用いて, 深礎杭工の現在の応力状態を評価した。この結果, 深礎杭に生じる応力および曲げモーメントは, 許容値以内であることを確認した。
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