本文は, 流動化した堆積層地すべりの発生機構について述べた。地層構造は27°の風化凝灰角礫岩上に3m前後の堆積土があり, 層界面に沿って運積性粘性土が分布する。
この間に部分的に摩擦II型地すべり面が存在するため, 両者で弱面帯を形成する。本文では, 弱面帯の中で摩擦II型地すべり面が占める割合を弱面比と呼称することとした。
普通, 弱面比は0. 05程度で安定しているが, 弱面帯上の崩積土が降雨浸透によって一定時間以上飽和するごとに, 摩擦II型地すべり面周辺の運積性粘性土がせん断破壊し弱面比が大きくなり, これが0. 2を超えると不安定な面になっている。
この状態のとき, 先行降雨量Q
EP, 弱面帯の深度をh
sとすれば
Q
EP=100・h
s以上の降雨量を受けると弱面帯がクリープ破壊して地すべりが発生する。
この際, 地すべり部分に崩積土中の砂礫部分からの大量の地下水が短時間に混入すると流動化する。砂礫層の探査には電気探査を用いる方法がある。
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